レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ノーカントリー」血が凍りつくような凄まじく不気味な描写の社会派映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ノーカントリー」(2007)です。

ベトナム帰還兵のルウェリン(ジョシュ・ブローリン)は鹿撃ちに来ていた時、男達の複数死体を発見する。少し離れた木立の下にボスらしい男が倒れており二百万ドルが入ったカバンを発見し、自宅に持ち帰る。夜、再び現場を訪れ、謎の男達に追われるが何とか逃げ切ることに成功。自宅に帰って妻に実家に行けと言い残して自分は男達と戦う準備を始める。保安官エド(トミー・リー・ジョーンズ)は、担当区で発生している殺人事件を追っているが、その殺し屋が神出鬼没で何やら大きな事にならない様に考えているのだ…

この作品、吃驚する様な映画です。その何と言ったいいのか、ハビエル・バルデム演じる殺し屋の存在感、その不気味さ物凄いサスペンススリラーになっています。

例えば、自分の演出スタイルとしてヴァイオレンスを描く監督、そのグロさを好んで描く監督達がいますが、この作品はそうではなく、物凄いリアリズムとしてヴァイオレンスを描いているように思います。予測不能の殺し屋の行動、殺人現場のその生々しさ、人を殺す時の銃の構え方、銃弾が貫いた車のフロントガラス、銃で撃たれた時の死体の状態、まるで鑑識が現場検証時に撮影する現場写真の様にリアルで…

例えば、こんなシーンがあります。麻薬取引でトラブルがあり激しく撃合いになり、最後に残った一人が傷を負って離れた木立の下に居るを見つけたルウェリンは、すぐに彼の下に行かず30分程様子を見てから、確実に死んでいるのを確認してからゆっくりと動き出す。こういうリアルと言うかカラカラに乾いた描写が優れていて。

ルウェリンと激しく撃合い、傷を負った殺し屋は薬局で色々と医薬品を手に入れると自分でその銃創を手当するシーン等、例えば「ザ・シューター/極大射程」でも描かれていましたが、こちらの方がもっと生々しくて。

又、エド保安官を淡々と描いてその対比がとても面白くて、成るようにしたならないだろうなと考えている彼がなかなかユニークで…

コーマック・マッカーシー著「血と暴力の国」を映画化した作品で、監督は「ビック・リボウスキ」のコーエン兄弟、とても良く米国が抱えている銃と薬物の問題を描いていると思います。いや、とても怖いですね。震え上がるほど怖い映画になっています。

「冷血」「ボーダーライン」「ブルータスジャスティス」等と同列の作品だと思います。少し古い作品ですがとても良く出来ていますので、興味のある方は是非ご覧になってください。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。           八点鐘

 

www.youtube.com

www.youtube.com

 

wedplain15.hatenablog.com

 

wedplain15.hatenablog.com

 

wedplain15.hatenablog.com