レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「座頭市」(1989)です。
映画は、冒頭から牢屋に入ってる按摩の市(勝新太郎)が百叩きの刑を受け、知り合いの儀助が住む処へ。そこの宿場では、二つのヤクザものの対立と八州回りとの黒い関係に市が巻き込まれて、再びあの仕込み杖がキラリと活躍するのですが…
勝新太郎がタッチした最後の座頭市になります。それ故、製作、監督、脚本、主演とワンマンショーの嫌いがありますが、出来上がった映画はなかなか面白いと思います。
加えてキャストが良いですね。勝新を筆頭に陣内孝則、緒形拳、樋口可南子、ジョー山中、内田裕也、三木のり平、片岡鶴太郎等役者が揃っています。
一つの宿場町を二つのヤクザが鎬を削っているお話、有名なダシール・ハメット「血の収穫」からでしょうが、黒澤明「用心棒」では新鮮でした。でも、もうこの時代ではありきたりストーリーですが、それをいかに上手く見せるか監督の手腕だと思います。マカロニ味で、時々ニューシネマでプロットよりムードとかセリフ重視で、驚く様な音楽を使って、どちらかと言えば、この映画、滅茶苦茶ではなく斬新、でも知的前衛ではない。でも、時々面白いカメラアングルがあって飽きませんね。そして、仕込み杖を使った市の殺陣が素晴らしいの一言。ラストの大立回りは見せてくれますね。うーん、美しいです。
頭を使って二つのヤクザものを対決させて、残ったヤクザと対決する桑畑三十郎の方が何やら輝いていますが。ホンがもう少しいいともっと良くなると思いますが。
個人的には、勝監督は若干独りよがりのところがありそれが又好きな人には堪らないのだろうと思います。私はちょっと、嫌な渡世だなあと呟きたくなります。
但し、このブログで紹介した「顔役」よりこの作品の方が遥かに好きですが。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鐘
