レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「それでもボクはやっていない」苦手な法廷映画、でもこの映画はとても面白かった理由は…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「それでもボクはやっていない」(2007)です。

求職者金子(加瀬亮)は面接に行く為に電車で移動中、女子高校生から痴漢されたと手を捕まれ駅長室に連れていかれた。彼は無実を主張するが、彼は所轄の警察署の留置場へ拘束される。やがて母、友人達の依頼で担当弁護士荒川(役所広司)、須藤(瀬戸朝香)の協力を得て痴漢冤罪を晴らそうとするのだが…

苦手な法廷映画、特にハリウッド映画の法廷映画は。古くは「情婦」「12人の怒れる男たち」「ニュールンベルグ裁判」等ありますが、私はどれも好きではありません。強いて言えば「情婦」が好いかな。特に「12人の…」はとても良く出来た作品ですが、もう時代錯誤も甚だしくて、ルメット監督であれば「評決」の方が良いですね。

今から十数年前、この手の記事が新聞紙面を騒がしていました。周防監督は苦々しく思って色々調べて、商売になると考えたのでしょう。

この作品の美点は、法廷映画と言うより痴漢冤罪裁判を通して日本の司法制度の問題点をさらけ出している点に価値があると思います。

検察側は、都合の悪い証拠を決して裁判には提出しないし、供述を捻じ曲げようとする。特に痴漢裁判では物証に乏しく被害者の証言だけなので冤罪が起こりやすい。マスゴミの興味本位の報道も問題で。

この映画でも描かれていますが、裁判官が被告のウソに騙されまいと「疑わしきは被告人の利益に」と言う原則が忘れ去られているように思います。結構、斬り込んでいますね。面白いです。

特にラスト、裁判は正義を執行する場所ではなく、与えられた証拠で被告が有罪か無罪を裁判官が判断する場所だというところです。

昨今、あおり運転で逮捕された人は、この手の映画をよく見た方が良いと思いますね。世間様はそんな甘いものではありませんよと。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。         八点鐘

 

追記 こんなことで前科一犯になったら大変ですね。昔、シンガポールに駐在していた時、シンガポールではすでに国民一人一人にマイナンバーが付いており、前科のある人は判るようになってるよ。そういう人は銀行で口座を作ることもできないと言われたことがあります。

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