レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「別れる決心」(2022)です。
映画は、ソウル警察に勤めているへジュン刑事(パク・ヘイル)は崖から転落した男の事件を扱うことになった。その死に事件性が有るかどうかを。男は入国管理官でその中国から来た妻ソレ(タン・ウェイ)は介護士をしていた。何か引っ掛かるもの感じていたへジュンだったが、匿名の手紙が来て死んだ男が入国時に外国人から賄賂を得ていたのがバレそうになったので自殺したことで事件が決着した。が、へジュンはある疑惑を感じているのだった…
登山を舞台に邪魔な奴を事故死させてやるという映画はあります。殺人事件として立件し難いからでしょう。有名なのはイーストウッド監督主演「アイガーサンクション」(1975)ですが、もう一つ日本映画で杉江敏雄監督「黒い画集 ある遭難」(1961)があります。この作品はどちらかと言えば「ある遭難」に近いと言えます。でも、本当に似ている映画は「氷の微笑」(1992)でしょう。そう、この作品はファムファタール映画でもあります。よせばいいのにヘジュンがその妻レイに好意を寄せてしまうからです。
そうなると後はお決まりのパターンになりますが、監督がパク・チャヌクなので最後までうまく運んでくれます。あの「氷の微笑」と比較してホンがとてもいい。そういう意味で好きな映画です、この作品。
例えば、認知症のお婆さんを利用したアリバイ作りとか、スチールグローブを使ったナイフを振りかざす容疑者逮捕のシーン等細かいところに気を配った映画作りがとても良いと思います。色々と勉強しているのが良く分かります。この手の作品が好きな方にはお薦めのの一本だと思います。
一つだけ、タン・ウェイは「色戒/ラスト、コーション」での愛欲シーンで有名になった女優です。せっかく彼女を起用しているのですからヘジュンを堕とす愛欲シーンがないとね。そこが少し物足りませんね。 八点鐘