レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ある一生」この様な普通のドイツ人が生活する映画が公開されるのを待っていました…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ある一生」(2023)です。

 

ほぼ1900年頃、この世に生を受けたドイツ人男性の生涯を描いた映画です。先の大戦に敗北した日本と同じドイツにとって20世紀は激動の時代でした。特にドイツは国家を国民社会主義国家労働者党(ナチス党)に政権を掌握され、このユダヤ人排斥等による強制収容所、民族浄化等で、戦後ドイツを舞台にした映画作品はこの手の映画が多く、それはそれで必要なことだとは理解しますが、多くの普通のドイツ人が生活する映画作品が殆どと言って無いほど乏しく、あまり良い傾向とは思っていませんでした。

日本も同様に先の大戦に敗北し、ここ日本での一般社会人のドラマは十分に見ることが出来るので、あまり不満はありませんでした。

この作品ですが、とても良いですね。こういうドイツ映画が見たかったのです。前述した様に1900年頃生まれ、激動の20世紀を生き抜いたドイツ男性エッガーの話で、淡々と進んで行きます。母を亡くして親戚が運営している農場へ四歳のエッガーがやって来る。農場主は厳しく、何かあるとエッガーの尻を激しく叩く。それがもとで彼は左足を痛めてしまう。エッガーは成人になるとこの農場を飛び出し、腕一本で農業仕事、伐採等行い金を貯めていく。ちょっとした酒場でマリーと言う女性と出会い、親密になりやがて結婚。

彼の質素な新居が良いですね。ドイツ映画なのでやはり山岳シーンが多く、山の中腹のにあり、その風景が素晴らしい。二人が生活する小さな町には山岳部にロープウェイを通そうと資本家がやって来て、エッガーも雇われる。が、幸せは長く続かず雪崩で、新居は流れてしまい、マリーは亡くなってしまうが、彼は再婚もせず、ロープウェイ建設に力を入れる。やがて、大戦が始まりエッガーはコーカサスへ…

イタリアにはベルナルト・ベルトリッチ監督「1900年」という良く出来た映画あり、日本にも少し味わいが違いますが、小林正樹監督「人間の条件」山本薩夫監督「戦争と人間」があります。

これらの映画との違いは、この映画は戦争の扱いはが小さいことで、私はそれが良いと思います。特にアルプス山岳部地方を舞台にしており、その風景が美しいところがこの作品の持ち味だと思います。うーん、本当に美しいです。

映画は原作があり、作家ローベルト・ゼーターラー、同名のベストセラー小説を映画化したものだそうです。興味がある方は是非ご覧ください。良い映画です。 

                                    八点鐘

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          当ブログで紹介したドイツ映画