レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。「汚れた血」「美しき諍い女」で有名なミッシェル・ピコリさんが亡くなりました。謹んで追悼いたします。
ピコリさんのキャリアは、戦後から始まり、ヌーベルバーグから最近まで活躍しており、メルヴィル監督「いぬ」、ゴダール監督「軽蔑」、ブルニェル監督「昼顔」、ガブラス監督「奇襲戦隊」、ヴァデム監督「獲物の分け前」、ヒチコック監督「トパーズ」、ソーテ監督「夕なぎ」、ドミー監督「ロシュフォールの恋人」、レネ監督「戦争は終わった」等素晴らしい監督たちと仕事をしています。
でも、私は何故か「恋の病」(1987)という彼の映画が好きなのでこの作品を紹介したいと思います。監督はジャック・ドレー。
この作品は、ナスターシャ・キンスキー、ジャン=ユーグ・アングラードと共演したラブロマンス映画です。淡々と一番綺麗な時のキンスキーとアングラードのロマンスを描いた映画なんですが、冒頭、ピコリ演じるラウル医師が自分の行きつけの美容院の美容師ジュリエット(ナスターシャ・キンスキー)と夜、偶然に会うシーンがあります。彼はルノー5という小型車に乗っています。いい車の趣味しています。あっという間に彼の別宅にジュリエットは連れていかれ、一夜を共にします。
朝、ジュリエットが起きて来ると、彼は彼女に鍵を渡して、「これ、この家の鍵、」と言います。フランス人の恋愛観を見ているようですが、彼のその時の仕草が何とも良いんです。ほんと、上手い役者だなと思います。日本人でこれを演じれる人は、なかなかいないでしょう。ただのエロ親父になってしまいます。
彼のようなとても上手い役者がいなくなるのは、大変残念なことです。 八点鍾