レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ジャック・メスリーヌ ノワール編」これぞ実録版フィルムノワール・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ジャック・メスリーヌ ノワール編」(2008)です。

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IMDb

この作品は二部構成になっています。そう、以前ご紹介した「チェ」と同じです。今回は、アルジェ戦役からフランス、カナダ迄を、明日は第二部として再びフランスに戻ったメスリーヌをご紹介したいと思います。

 

近年、これ程面白い実録フィルムノワールはないでしょう。この男、民衆の敵No.1 メスリーヌは銀行強盗32回、脱獄4回と桁外れの男で、頭の回転が良く、肝っ玉もあり、そして運にも恵まれた男で、人生を駆け抜けようとします。キレると情け容赦なく、構わずトリガーを引き、収監されていた刑務所にお礼参りする、こんな男はゾラにいません。それは怖いぐらいです。

 

映画は、1959年アルジェ戦役、上官からの命令で尋問中のゲリラを射殺、帰国するが大戦中独軍に協力した父を嫌い、裏稼業へ結婚、長女が生まれたことで一時足を洗うが、又再び裏稼業へ。叩き、殺し等を行い、且つジャンヌというズベ公と組んで荒稼ぎ。

そして、カナダに逃げ、富豪の運転手として雇われるや否や本性を現し、身代金誘拐が、米国テキサスで逮捕。カナダに護送され、特別懲罰刑務所に収監されるが、警備の盲点を見つけ出し、脱獄。そして、特別懲罰刑務所を襲撃。

1972年、森の中で射撃訓練をしている時、自然保護管を非情にも射殺するところでノワール編は終わり、第二部ルージュ編に。メスリーヌはフランスに戻り、大暴れする。

 

ヴァンサン・カッセルがとても気持ちよく楽しそうに、まるで水を得た魚のように極道を演じています。但し、メルヴィル作品とかジョゼ・ジョヴァンニ作品と違い、主人公に哲学性を持たせていませんので、そのつもりで。監督はジヤン=フランソワ・リシェ(「アサルト13 要塞警察」)。

映画はテンポ良く進み、カナダで一度収監された特別懲罰刑務所襲撃がノワール編の白眉でしょう。作品のキレはいいと思います。

 

もう一度言います。あくまでもこの主人公は極道そのものなので。キレればトリガーを引くという単純な極道なので。そんなつまらない男は嫌だという人は、別の作品ということになりますが。

共演はジェラール・ドパルデュー、エレナ・アナヤ等。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。      八点鍾

 

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