レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「2001年宇宙の旅」(1968)です。
当時1968年は、SF映画の年とか言われていました。同時期に「猿の惑星」「バーバレラ」「まごころを君に」等が公開されています。SF映画は、ドラマ、史劇などに比して一部の作品、例えばフリッツ・ラング監督「メトロポリス」は別格として「宇宙戦争」「禁断の惑星」等以外は、ゲテモノ扱いと言う扱いだったと思います。
そんな時期に、アーサー・C・クラーク原作のSF映画、70mmシネラマ大作、製作費邦貨約43億円、主演者は主に二人それも名の通ったスターではなく殆ど新人、製作期間は約3年と破天荒な映画をスタンリーは製作、脚本、監督を兼ねて作り上げました。
既に私が説明するまでもなく多くの方がご覧になっていると思いますが、粗筋は次の通りです。
映画の冒頭は、人類に進化する前の類人猿が登場し、道具を使うことで進化して、月に異星人が残したと思われるモノリスを発見し、そのモノリスが木星に向かって強力な電波を発してたので、人類は宇宙船ディスカバリー号を向かわせてその謎を解こうとするのだが…
映画も大変変っており、普通のドラマではなく映像実験映画の趣も見られますが、淡々と物語が進み、主人公らしい人物が登場するのが、宇宙船ディスカバリー号が登場してからです。視覚効果が素晴らしく、宇宙ステーション、スペースシャトル、宇宙船ディスカバリー号、スペースポッド、AI型コンピュータHAL9000、宇宙ペン、グリップシューズ、宇宙トイレ等々とても細かく詳細に描かれています。
更に、映画音楽は既成のシュトラウス、リゲティ等クラシック音楽を利用していわゆる対位法を試みて成功した映画と言えます。
ラスト、スターゲートのシーンは、映像と音楽の洪水の様で実験映画の様になってきてシネラマ効果が更に効いて、本当に美しいと思います。
いや、凄い映画です。知性の塊のような映画です。こういう言い方は正しくないかもしれませんが、キューブック作品を鑑賞すると知性しか感じられません。例えば、ジェームズ・キャメロン、クリストファー・ノーラン両作品は、勿論知性も感じられますが、それだけではなく、商売をより濃厚に私は感じます。
このブログ作成に久しぶりにBD版を鑑賞しました。 八点鍾
追記 今月は木星が肉眼で見ることが出来るので、この映画を取り上げてみました。勿論「2010年」も取り上げます。
www.youtube.com 没にされたアレックス・ノース版 「2001年宇宙の旅」の音楽