レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「潜水艦クルスクの生存者たち」(2018)です。
以前ブログに書きましたが、ホーチミンで鑑賞しておりブログにも紹介済みです。
この作品は、2000年8月12日に最新型原潜クルスクが軍事演習参加中、搭載していたHTP魚雷が爆発してムルマンスク市から約140キロ離れたバレンツ海水深108mの海底に着底し、欧米海軍の支援拒み乗組員全員112名死亡した事故を描いた作品です。監督はトーマス・ヴィンターベア。
ホーチミンで鑑賞した時は真摯に作られた良い映画ですが、面白みに欠ける作品だという印象でしたが、今回はロシアがウクライナに侵略、交戦している時期に鑑賞したので、色々な思いが頭によぎりました。
1991年にソビエト連邦崩壊、又1998年にロシアはデフォルトしているので、経済状態が良くなく、海軍でも給料遅配、訓練不足が起こっておりそういう事が沈没の遠因になっていた。ロシア海軍深海救難艇のメンテナンスが悪く使用できなかった事が被害を大きくした。プーチン大統領は保養地ソチで休養中だったとか。
この新型潜水艦は原子力で、それ故戦略原潜に近い造りだった。原潜は二種類あり、一つは攻撃型原潜、もう一つが戦略原潜、海に秘匿して非常時にICBMを発射する原潜。このクルスクはICBMではなく、大型巡航ミサイルを搭載することが出来た。それ故、欧米海軍の支援を拒んだと考えられます。
昨今、ウクライナでの悲惨な映像が日本でも多く放映され、米国は核兵器を保有している敵国とは交戦しないということがはっきりとしたので、有事に日米同盟が機能しないのではと、巷ではニュークリアシェアリング、戦略原潜保有の議論が多くなってきたことに驚きます。私知りませんでしたが、ニュークリアシェアリングはNPT条約違反にならないのですね。
日本の周りには核保有非民主国があり、あの韓国でさえ核兵器保有、戦略原潜を所有したい野望があるのに驚きます。どれが日本国核保有のトリガーになるか知りませんが、やがては落ち着くべきところに落ち着くだろうと思います。多分に、英国海軍を参考に戦力構成をとるものと思いますが。
そんなことを考えながらこの映画を鑑賞していました。 八点鍾
追記 当時、私はシンガポールに駐在しておりシンガポールでも大きく報道されました。映画で描かれていますが、乗組員家族への説明会で騒ぎ出した女性に後ろから精神安定剤を注射したことも非人間的だと大きく話題になりました。
最近では、2018年アルゼンチン海軍で潜水艦沈没、去年インドネシア海軍でも潜水艦沈没事故が起きています。
最後に、重い映画なのですが巡航ミサイル原潜クルスクがムルマンスク港を出港し、乗組員の子供達が見送るシーンはとても綺麗で美しいと思います。目頭が熱くなる良いシーンです。