レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「太平洋奇跡の作戦 キスカ」日本の戦争映画で好きなのはこの作品ぐらいですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「太平洋奇跡の作戦 キスカ」(1965)です。

 

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いつも思うことですが、日本の戦争映画は見るのがつらいです。画面に出て来る兵士たちは悲壮な表情で、その殆どが戦死してしまう。見ている方が辛い。

でもこの作品は違います。何か何度見ても楽しいんです、勇気づけられます。何とかキスカ島に残された兵士を助けようと頑張る。ラスト、帝国海軍の軽巡、駆逐艦に乗り込むことが出来た兵士の屈託のない笑顔を見るたびにこちらも微笑んでしまいます。良かったと、本当に良かった。

 

この映画は、1943年7月29日に行われた第五艦隊第一水雷戦隊によるキスカ撤退作戦を描いた作品です。監督は丸山誠治。

先のブログ「ナバロンの要塞」はフィクションで、ケロス島に封じ込められた英軍兵士2000名を救出するために6名の特殊戦兵士が大活躍するストーリですが、この映画は実話を元にしています。

ミドウェイ海戦時の陽動作戦としてアリューシャン攻略作戦があり、キスカ島に約6000名の兵士が上陸したが、やがて米軍の反攻により孤立。隣のアッツ島玉砕後は、空爆、敵艦隊の艦砲を激しく受ける有様。

そんな中、海軍士官学校をドンケツで卒業した大村少将(三船敏郎)が第五艦隊へ赴任、第一水雷戦隊を指揮して、キスカ島から約5200名を救い出そうとする。アッツ島では約3000名が玉砕し、キスカ島は悲劇にしないと皆が頑張る話。

駆逐艦が足りないので、五艦隊旗艦を聯合艦隊に差し出して駆逐艦を貰い、撤退が上手く行く為に連絡参謀を派遣、ようやく準備が出来た、今度は濃霧が発生しない。

キスカ島では艦隊が来るかと待ち、じりじりと日は過ぎ去っていく。一度はキスカ湾突入迄来たが、霧が晴れて引き返すことに…

 

本当に良く出来た地味な戦争映画です。五艦隊司令(山村聰)も、大村司令も、気象予報官も全力を尽くす。特に参謀をキスカ島までお送りしたイ7潜水艦は悲劇だった。キスカ湾に入り浮上した処に爆撃機から艦橋に直撃弾を食らい、艦長、副官とも戦死、砲術長が指揮を執り被弾した潜水艦をキスカ島に乗り上げようとする。唯一の勇ましい場面。キスカ島周回シーンの円谷特撮は素晴らしい。なお、作品はモノクローム映像です。

 

一兵残すことなく撤退できたことは本当に良かった。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。      八点鍾

 

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追記 この大村少将は、木村昌福少将をモデルにしており、後にレイテ挺身輸送「多号作戦」を2度も成功させた生粋の水雷屋です。詳細は下記を参照ください。

ja.wikipedia.org

 

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