レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「トランシルヴァニア」(2006)です。
妊娠二か月のシンガリナ(アーシア・アルジェント)は姿を消した恋人ミランを追って、パリから故郷ルーマニアへ友人マリーと共に旅立つ。恋人ミランは見つかるが、彼女を冷たくあしらう。そんな時ジプシーの子供バンダナと知り合い、二人は一緒に行動をするが、ある日バンダナは去って行く。そこへチャンガロと言う男が現れて、二人はオンボロのメルセデス240TDに乗って旅を始めるのだった…
初めてのルーマニア映画です。主演がイタリアでホラー映画の女王アーシア・アルジェントなのでホラーぽっくて面白いのかなと期待して鑑賞しました。
前述したプロットのような内容なので、真摯に作られたロードムービーになっています。寒々する様なルーマニアの風景、寒村が淡々と映し出され、余り技巧的でない素朴な味わいです。
私は仕事でハンガリーまでは行ったことがありますが、その隣ルーマニアのトランシルヴァニアはこんな風とは全く知りませんでした。特に、夕暮れ時に平原の一本道をシンガリナとバンタナがとぼとぼと歩くシーン、周りに人が住んでるような気配がなく、あの風景には恐ろしさを感じました。同様に雪の中をチャンガロが彷徨うシーンも一面、南極大陸でもないのに真っ白で恐怖を感じました。
という風に、映画のお話よりもルーマニア、トランシルヴァ二ア地方の自然に魅せられた映画です。アーシア・アルジェントはいつもと違い、ロマ族のこういう役も出来るのだと再認識しました。ジプシー音楽も悪くないなと思い知った次第です。
監督はトニー・ガトリフ、旨味はありませんが真摯な作品になっています。但し、こういう映画なので覚悟してご鑑賞ください。ハリウッド作品の様な映画ではありません。念のため。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鐘