レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「肉体の悪魔」ケン・ラッセル監督の弾け過ぎた重量級歴史大作映画…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「肉体の悪魔」(1971)です。

この映画は、1634年フランスのルーダンで行われた魔女裁判を映画化したもので、これはルーダンにあった修道院の修道女が悪魔の訪問を受け取り憑かれたと告白し、カトリック教会による調査でグランディエという司祭が魔術の罪で有罪判決を受けて、火刑された事件を映画化したものです。これには裏があり、当時はルイ13世の統治下でしたが、実際権力を握っていたのはリシュリュー枢機卿でありフランス王国の権力強化の為、国内のユグノー派を一掃したかった。ルーダンもユグノー派が掌握しており、そのルーダンの町を取り囲んでいた壁を取り壊したかった為に邪魔なグランディエに根も葉も無い噂をでっち上げて始末したのであった…

ケン・ラッセル監督は製作、脚本、監督という力の入り様で、重量級の力作になっています。悪魔祓いの犠牲者ジャンヌ修道院長をヴァネッサ・レッドグレーヴ、グランディエ司祭をオリバー・リードが熱演しています。とても大変だったと思います。スクリーンからその辛さが滲み出ています。

映画は、冒頭からルイ13世のゲイっぽいダンスシーンからユグノー派の虐待、ペストで亡くなった死体のテンコ盛り、狡猾なリシュリュー枢機卿の描写などコテコテのラッセルスタイル、いつも以上に弾け過ぎている感じですが、でも好きな人には堪らない作品になっています。それ以外の人にはチョットねという映画だと思います。

特に中盤からのジャンヌ修道院長の悪魔祓い、グランディエ司祭の宗教裁判から火刑迄は直接描写は少ないものの結構熱の入った描き方で、見ている方が疲れます。悪い映画ではありませんが、観客を選ぶ作品になっています。ケン・ラッセル監督が大好きな人、そういうファンが存在するか分かりませんが、絶対に外せない作品だと思います。

私にとって、ケン・ラッセル監督はあのハリー・パーマーシリーズ「10億ドルの頭脳」の監督だけですね。「恋する女たち」「恋人たちの曲/悲愴」「トミー」「バレンチノ」「アルタード/ステーツ/未知への挑戦」等見ましたが…

このブログ作成に輸入DVDを鑑賞しています。           八点鐘

 

追記 その昔この映画はLDで販売されました。私も購入見ましたが、画質が悪く、色々と国内用に修正されていたので映画の持ち味が理解できませんでした。

今回購入したのは、PAL仕様レストア版英語字幕付きだったので助かりました。画質も良くラッセル監督の意図が良く理解できました。特にLD版では、デレク・ジャーマンが手掛けたルーダンの壁の良さが分かりませんでしたが、このDVDでは画質が良いので、何とも言えない前衛的なルーダンの壁の良さが理解できました。

 

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同時期に製作された中世時代劇であれば、私はこちらの作品の方が好きですが