レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「五本の指」(1952)です。

第二次世界大戦下中立国トルコ。英国大使執事ディエロ(ジェームス・メイソン)は、かって仕えたスタヴィスカ伯爵未亡人アンナの窮状に心を痛めた。彼女を救う為、彼は連合軍作戦計画を小型カメラに収め、ドイツ大使館武官に売りつけるのだった…
ジョセフ・L・マンキューウィッツ監督の良く出来たエスピオナージスリラーです。いや、ヒチコック先生もビックリするほどのサスペンス映画になっています。
特にジェームス・メイソンが素晴らしい。何と言うか、存在感のあるというか計算された演技で、最近は只々慣れだけの演技とか、メソッド演技法が主流な中で古いタイプの演技と言うのも中々良いですね。うーん、美しいです。
加えて、私が映画を見始めた頃もうメイソンは大物役者で、政府高官、金満家、政治家、ギャングのボスのような役が多く、この作品の様に一見大使に忠実な執事、実は狡すからい反逆者ような役は初めて見ました。結構身体が動き、なかなかの役者だったんだと。英国とドイツを両天秤賭けて、金だけの為に疾走するのだが…
加えて、この作品、ホンが良く出来ているのでサスペンスたっぷりで、いやとても楽しむことが出来ました。マンキューウィッツ監督はこの作品以外にあの「探偵スルース」とあまり面白くない「クレオパトラ」ぐらいしか見ていないので。
あの007の様なアクションスリラーではなく、丁寧に造られたエスピオナージスリラーで、二重丸の映画でした。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鐘
追記 伯爵未亡人を演じるダニエル・ダリューがとても気品ある美しさで、その美しいこと、素晴らしい。






音楽はバーナード・ハーマン 美しいです。