レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「死と乙女」(1994)です。あのロマン・ポランスキー監督作品ですが、この作品はアリエル・ドーフマンの戯曲です。ですから、この映画には3人、ポーリナ(シガニー・ウィーバー)、ミランダ(ベン・キングズレー)、ジェラルド(スチァート・ウィルソン)しか登場しません。
南米某国、独裁政権崩壊後、暫くたってから・・・
岬近くの一軒家。遥か向こうに灯台、激しく波が打ち返し、空はどんより曇り、雨が降っている。ポーリナの心は晴れない。ジェラルドもなかなか帰ってこない。
準備した夕食、ローストチキンを離れた納戸で食べ始めるポーリナ。雨が激しくなり、停電になる。やがて、ヘッドライトの灯りが見え、プジョー405が見える。ポーリナはある事件から極力人に会わない様になり、プジョーからジェラルドが降りると車は去っていった。
ポーリナは先ほど聞いていたラジオから、夫ジェラルドが独裁軍事政権時の人権侵害調査委員会の委員長になったことに毒づき始める。そんな時、先ほどのプジョーが戻って来て、乗っていたミランダ医師はパンクしたジェラルドの車のタイヤを持ってくる。
その会話を聞いたポーリナは、引き出しからベレッタ拳銃を取り出し、プジョーに乗り込み、出掛けてしまう。ポーリナはプジョーを崖から落とし家に戻ってくると、拳銃でミランダを殴りつけ、椅子に縛り付ける。
ジェラルドは驚くが、
「この男よ。この瞬間、この日を待ち浴びたのよ。間違いない、同じ声、同じ臭い。
この男が私を凌辱したのよ! ぶち殺してやる!」と叫ぶのだった。とこの映画は始まります・・・
本当に重い重い復讐劇が始まります。これに比べればマカロニウェスタンの復讐劇なんかままごとの様、シガニー・ウィーバー、「エイリアン」シリーズ以外では精彩を欠く彼女ですが、今回は違います。
彼女のエキセントリックな演技が光ります。ポランスキー監督もチャールズ・マンソンをこの様に椅子に縛り付け、復讐したかったに違いないでしょう。ねちっこくねちっこくと演出も力が入っています。こういう復讐劇が好きな人は、満足されるかもしれませんが、私はここまで重いとどうもね。とてもフィクションと思えないほどの真実さがあります。
又、不幸にして、ガブラス監督の「戒厳令」「ミッシング」を鑑賞しているので、余計にポーリナの悲しみ、怒りが十二分に理解出来て・・・
「私を凌辱している時、この男はシューベルトの死と乙女をかけて・・・」
ミランダ医師はアリバイ、その時期はスペインにいたと主張するのだが・・・
このブログを作成にDVD版を鑑賞しています。
追記
ミランダ医師は告白しますが、ポーリナは何もしません。普通なら恥じて、ミランダ医師は自殺するでしょう。又、機会があれば、彼は同じことをする人間だと私は思いますね。
すいません。重い映画で、暫くは軽い映画を紹介します。 八点鍾