レタントンローヤル館

主に映画のお話

「熱い賭け」フリーシネマ派カレル・ライス監督社会ドラマですが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「熱い賭け」(1974)です。

 

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第二次世界大戦後、フランスで既存の映画とは違う新しい映画スタイルを確立しようという運動が起こり、それをヌーヴェルヴァーグと呼ばれました。英国でも日本でも同様の運動が発生し、英国ではフリーシネマと呼ばれ、トニー・リチャードソン「蜜の味」、リンゼイ・アンダーソン「孤独の報酬」そしてカレル・ライス「土曜の夜と日曜の朝」が中心となって映画作りを始めました。

 

この映画は、そのカレル・ライス監督がハリウッドで製作した映画ですから、普通のハリウッド映画のようにパッピーエンドではなく、大変良く出来ていますし、且つ厳しい内容の映画になっています。

 

冒頭、大学で英文学の教授アクセル(ジェームス・カーン)が賭場で負け続け、4万4千ドルの借金を負うところから始まります。彼は綺麗なビリー(ローレン・ハットン)と言う恋人もおり、母は医者をしており、祖父はリトアニアからの移民ですが、事業で成功し大きなフランチャイズの家具店を経営しています。そんな家族に囲まれているのに。彼は、仕方なく母に泣きつきます。

 

ここのシーンがとても良いです。どんよりと曇った人がいない海岸で、母が泳ぎから戻ると、浜辺に書かれた4万4千の文字、母に問い詰められ、頬を叩かれ、懇願する。

この時の母の表情が、あきれ果てたような表情が、とても上手い。

母の貯金を切り崩して、4万4千ドル、早速胴元に返すのかと思いきや、又、賭けをやり始める。この辺りの心理は、賭博運がない私にはまったく理解出来ないのですが。

 

賭博者は、一般にツキが付いている時は何をやっても儲かると思っているようで、彼も前回はついていなかったが、今回はと再挑戦します。ベガスまで出かけて、ダイス、カードとツキまくり、借金以上大金を手に入れます。

が、バスケットボール賭博で負け、再び借金を負うことになり、相手の胴元から学生にバスケットボールの八百長をやらせることを要求されますが・・・

 

本当に厳しい映画です。アクセルを突き放す、厳しい現実のラストも胸を打ちます。

さすがカレル・ライス監督です。ジェームス・カーンも素晴らしい演技を披露してくれます。最近はこういうタイプの映画が無くなりました。ハリウッドでこの手の映画は、マーティン・スコセッシ監督がマフィア物を題材にして作られるまで殆どなかったと思います。

コミック映画も否定しませんが、現実を直視し、自分を刮目させる映画を鑑賞することも大切だと思います。最後に、この作品ではマーラー交響曲第一番が効果的に使用されています。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。          八点鍾

 

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