レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

番外編「トラ・トラ・トラ!」黒澤版が見たかったな・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「トラ・トラ・トラ!」(1970)です。

 

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但し、有名な作品なので別の視点からの「トラ・トラ・トラ!」、そう黒澤版について知っていることをお話したいと思います。

今から20年ほど前だと思います。黒澤監督が亡くなられてから、数年後、「幻の黒澤明トラ・トラ・トラ!シナリオ」とかいう雑誌を購入したことがあります。

題名はうろ覚えで、出版社の名前も忘れました。但し、大手だったと思います。

 

それは、見開きに黒澤明自身が書いた「トラ・トラ・トラ!」のコンセプトアート、確かホテルの便箋に書かれていたと思います、が数枚引用されていました。

 

それは、「影武者」「乱」「夢」で黒澤監督自身が描かれたコンセプトアートと同じタッチで描かれていたので、そのシナリオは間違いないと思いその雑誌を購入、丹念に読んだことがあります。但し、本当にそのシナリオが決定稿かどう分かりませし、雑誌を紛失したので執筆者も分かりません。

 

映画との違いは

1. 大使館のシーンが若干多い。

2. 北航路を利用した機動部隊の小型艦艇への荒れた洋上給油シーン

  これは、実際に撮影されそのシーンは20世紀フォックスに試写が行われている。

3. 聯合艦隊の雷撃訓練シーンは、夜間雷撃訓練になっている。

4. 最後に、米国海軍空母エンタープライズが真珠湾攻撃を知り、真珠湾に急行する

   シーンがカットバックされサスペンスを盛り上げています。

 

以上ですが、大使館シーンを除いて金のかかるシーンをすべて安易なシーンに置き換えたと思います。

その雑誌に書いてあった解任理由は、映画製作スケジュールが大幅に遅れ、黒澤プロダクションがその遅延金額を負担することが契約書に記載されており、それを回避するため黒澤監督の健康問題を理由に回避ということが述べられていました。オブラートに包んだような表現でした。

 

いずれにしても、「どですかでん(1970)」、71年自殺未遂から「デルスウ・ザーラ(1975)」、そして「影武者(1980)」でカムバックするまで、黒澤明は大変だったと思います。

私は、いまでも黒澤明監督「トラ・トラ・トラ!」を見たかったと思います。

 

ハリウッド版「トラ・トラ・トラ!」を鑑賞しながら、上記のことを思い出しました。

                                八点鍾

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黒澤監督 絵コンテ

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捜してみましたが、これくらいしか見つけることが出来ませんでした。


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こちらは有名なロバート・マッコール氏のコンセプトアート。とても巧いですけど私は黒澤監督の方が好きです。

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