レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ヒッチコック」サスペンスの巨匠「サイコ」の製作過程時のもろもろを描いた映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ヒッチコック」(2012)です。

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成功作となった「北北西に進路を取れ」を完成後、ヒチコック(アンソニー・ホプキンス)の次作は、いつものように洗練されたサスペンス映画ではなく、もっと猟奇的な吐きそうになる作品「サイコ」を製作しようとする。が、パナマウントは出資しなく、彼は自分の邸宅を抵当に入れ映画を取り上げるのだが、配給側からの評価は芳しくなく、妻アルマ(ヘレン・ミレン)のアドバイスを入れて、何とか完成版を作り上げるのだが…

 

劇場でこの作品を見た時、妻アルマの存在がこんなに大きいのだろうかととても大きな疑問を持ちました。が、その後、ヒチコックを巡る色々に噂話をネットで知ったり、それに付随するTVミニシリーズ作品を見たりして、ガラガラと偉大なるヒチコック像は私の中で崩れてしまいました。ティッピー・ヘドレンは大変だったそうです。

その辺り、そのブロンド中毒もこの作品では、ヴェラ・マイルズに暗示させながらやんわりと描いていて、確かに"マスター・オブ・サスペンス"という称号もさることながら、癖の多い監督だったのでしょう。今回、再見して初めて理解出来ました。劇場では全く分かりませんでした。もう少し大きく扱っても良かったなのかもしれません。

 

私がリアルタイムでヒチコック映画を見始めた頃、どの評論家も、飯島正氏、双葉十三郎氏等も彼のことを"神様"扱いしており、その評論家達がこき下ろした「引き裂かれたカーテン」「トパーズ」を最初に見た時、私なりにそのサスペンスセンスに感心しました。例えば、「引き裂かれたカーテン」では、東ドイツの小さな農家で監視員グロメクを台所で殺害するシーン、「トパーズ」では、カメラのレンズを隠すためにくり抜いたパンをカモメがくわえて飛んでいるのをキューバ兵士が発見する、こんな芸当が出来るのはヒチコックだけです。

 

「サイコ」のあのバスタブシーンは、この作品ではアルマが編集したことになっていますが、以前ではソール・パスが手を加えたと聞いていました。

いずれにしても、モノクロで、ほぼノースター、主人公が映画途中で死んでしまう、実験映画のようなローバジェットの猟奇サスペンス映画の成功が、観客を途中から入れない、ラストはオープンにしない等、良く分かるように作られた映画でした。

私個人としては、猟奇色の強い「サイコ」より以後の6作品、「鳥」「マーニー」「引き裂かれたカーテン」「トパーズ」「フレンジー」「ファミリープロット」の方が好きですが。

 

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。      八点鍾

 

追記 ホプキンスをヒチコックにした特殊メイクが話題になった映画でした。でも、アルマを演じたヘレン・ミレンがとても良い作品で、本当に素晴らしかったと思います。

もう一つ、彼はアカデミーでは無冠の帝王でした。ブロンド中毒が引っ掛かったのかもしれませんが、この様なタイプの監督、嫉妬したくなるぐらい才能がある監督はアカデミー会員からは嫌われるのでしょう。

 

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www.youtube.com

www.youtube.com 有名なバスタブシーン 「サイコ」より この作品には少ししか出てきません