レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ブルーバイユー」国際養子縁組制度の歪みを描いた映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ブルーバイユー」(2021)です。

アントニオ(ジャスティン・チョン)は韓国生まれだが韓国は知らない。三歳の時国際養子縁組制度で米国に来た。今ではキャシー(アリシア・ヴィキャンデル)と連れ子と裕福ではないが幸せな日々を送っていた。更にキャシーは彼の子供を身ごもっていることが分かった。そんな時、警察官の拘束を受け意外な事実を知る。それは養子縁組時の書類に不備があり、このままでは韓国へ強制送還されるという事実を知るのだが…

監督、脚本、主演と担当した社会派映画の力作と言って良いでしょう。真摯に纏められた良い映画です。その昔見たアラン・ドロン主演「泥棒を消せ」「ブーメランのように」を思い出しました。何時の時代もあまり変わらないなと思いながら。

冒頭の面接シーン、良い仕事を得たいのならもっとチャンとした服装するとか、一部入れ墨を消すなどしないと。キャシーの母にはもっと愛想をしないと、妻から子供を任されたら学校に連れて行かないと等々見ていて思いました。何か負のスパイラルに墜ちて行っているようでそれを教えてくれる友人、目上の人がいない彼の交友関係に問題があるのでしょう。だから、彼自身は一生懸命もがいているのですがどうにもならない。私が思うに問題は、米国内の養父母家族選定が甘い様に思いますが。女優アシュレイ・ジャッドも養父に性的虐待を受けたという話を読んだことがあります。

この作品で一番の美点は本筋に関係ないエピソード、80年頃ボートピープルとして米国に亡命したベトナム人達のパーティの処かな。招待してくれたベトナム女性がボートに乗って逃げる時家族バラバラで、一緒に逃げると一家全滅になるので、母のボートは沈み亡くなったが、他の人は米国へ行くことが出来たと。キャシーはこのシーンで「ブルーバイユー」を熱唱する。この辺りが一番いいですね。本筋よりここいらをもっと描いてもらった方が好い映画になったように思いますが。

ラストは強制送還のシーン、映画の中では彼はバイクを窃盗しているのですから強制送還は仕方ないな。当局は知らないかもしれないが。観客にもっと訴えたいのならもう少しホンを練らないとね。

このブログ作成の為、VODにて鑑賞。         八点鐘

 

追記 キャシーの様に美人で連れ子が自分になついているのなら、又生まれてくる自分の子供のことも考えて、もっと働いて父親の存在感を見せつけないとね。入れ墨の彫師より真っ当な仕事をしないとね。歯を食い縛って働かないと、男は辛いけど…

 

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