レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「黒い罠」(1958)です。
メキシコ国境地帯にあるロス・ロブレス、新婚旅行の途中に立ち寄ったメキシコ麻薬捜査官ヴァルガス(チャールトン・ヘストン)と妻スーザン(ジャネット・リー)は、乗用車爆破事件に出くわす。搭乗していたのは地元有力者リネカー氏だった。米国側捜査責任者はクインラン(オーソン・ウェルズ)で、色々と噂の多い男だった。ヴァルガスは仕方なく捜査に協力するのだが…
オーソン・ウェルズと言えば、あの映画史の残る傑作「市民ケーン」がありますが、この作品も凄いと思います。冒頭4分程の長回しが凄いし、プロットの展開も、あのヘイズ・コードギリギリの物語展開でびっくりしました。
加えて、チャールトン・ヘストンをメキシコ人捜査官を演じさせるなんて、これも凄い。又、ウェルズ自身も物凄く凝ったいで立ちで登場し、楽しそうに演じているなんて、素晴らしいの一言。
加えて、演出スタイルも当時としてはとても斬新だったのでしょう。最近の映画を見ている様にカメラを縦横無尽に動かして画面が生き生きしている感じ。構図も良く奥行きのある凝った撮影で、本当に凄い男だなと感心しました。でも、この手の映画は一般受けは難しいでしょうが、私にとって"俺の好きな映画だ"と叫びたくなるほど。
ラスト、クインランの告白を盗聴しテープに残すというスタイルも当時としては物凄い先進的な方法で、これも驚きました。もう一つ、この映画、マレーネ・ディートリッヒが脇で登場します。これにも驚きました。儲け役ですが、うーん、美しいです。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鐘
追記 この映画は公開当時スプラッシュ公開だったそうです。何と言うかもったいないことです。今回鑑賞したのはウェルズが残したメモによって修復された110分程度修復版です。