レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「クレムリンレター」(1970)です。近年再評価されている映画です。
映画は、中国の核施設をソ連と共同攻撃しても良いと米国情報部が裏書した手紙"クレムリンレター"をソ連の外交官が回収しようとしたが、ソ連対敵情報部コスノフ(マックス・フォン・シドー)に捕らえられて自殺してしまう。
"クレムリンレター"を回収すべく米国側ではローン少佐(パトリック・オニール)は通常の任を解かれて、フリーランスのシークレットサービスへ。そこでワード(リチャード・ブーン)に会い、仲間達を集めてモスクワへ、いわゆる「柔らかい下腹」に潜入し任務を遂行するのだが…
ノエル・ベーンの同名の小説を映画化した巨匠ジョン・ヒューストンのカルトムービーと言って良いでしょう。日本では、ご覧になった方は少ないのではと思います。
でもネ、「ジャン=ピェール・メルヴィルの映画人生」ルイ・ノゲイラ著の中で、メルヴィルは「お見事、」と映画館から出た時妻に言い放ったと書いてあります。でも、日本では黙殺された映画扱いで…
日本の映画批評では、双葉十三郎氏と山田宏一氏の批評を読んだことがあります。双葉氏は勿体ない力作とか山田氏はラストの復讐シーンを指して赤狩り時の恨みを晴らしているようと書いていたことを記憶しています。
まず、この映画ですが、キャストが凄い。渋めの役者勢ぞろいでパトリック・オニール、リチャード・ブーン、マックス・フォン・シドー、オーソン・ウェルズ、ナイジェル・グリーン、ディーン・ジャガー、ビビ・アンデショーン、バーバラ・パーキンス、ジョージ・サンダースと揃っていて特にリチャード・ブーン(「太陽の中の対決」)が好い。ヒューストン監督もちらりと登場します。
前半、仲間を集めて敵の情報を集め、報酬は生き残った者で分けると挙手する処等ヒューストン得意のハードボイルドタッチで、こういうシーンが好きなファンには堪らない映画になっていますが、全体にプロットが複雑すぎて解り辛いと思います。
でも、ラストシーン、この非情な世界で生き残る為の課題を与えられるローン少佐を見ているとこの老巨匠ヒューストン監督はなかなかやるではないかと頷きますが、メルヴィル監督は少し褒め過ぎではないかと私は思います。
この手のカルト映画が大好きな方は、必見の作品かな。でも、日本ではDVD、BDも手に入らないので悪しからず。但しノースーパーの配信であれば鑑賞できると思いますが。
このブログ作成にBD版(輸入盤)を鑑賞しています。 八点鐘