レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「ジュリア(s)」フランス映画らしい凝った構成で意外に面白い映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ジュリア(s)」です。

映画は、1989年ベルリンの壁崩壊から始まります。17歳でピアニストになるべく勉強していたジュリア(ルー・ドゥ・ラージュ)は、勉強そっちのけでベルリンに向かいます。そしてそこで恋に落ち、そこで暮らすジュリア、そしてパスポートを忘れてベルリンに行けなくて、ある日本屋で出会ったポールと恋に落ち、又、シューマン・コンクールで優勝したジュリアとそうでないジュリアが、入り組みあって物語が進行するのですが…

とこんな感じで自分の人生がある分岐点で違う選択をしたら、人生がどのようになっていくかを結構丁寧に描いた作品です。編集が大変だったと思いますが、上手く出来ていたと思います。

少し映画慣れしていないと解り辛い作品だろうと思いますが、私は結構楽しく、充実した二時間を体験しました。ヒロインを演じるルー・ドゥ・ラージュも中々達者な演技力で楽しむことが出来ました。

何点を言えば、少し解り辛いことと、色々な人生が描かれますが、一番良いと思われる人生が、最後には一番悪くなるということ。ホントかな? 何か一番良い人生に負い目でもあるのでしょうか? 私には判りませんが…

私が一番面白いと思ったのは、ヒロインの恋人ポールが数学者で統計確率論のリスクマネージメントを勉強していて、金融投資のリスク管理のスペシャリストとして金融機関に職を得て仕事をしているという設定。映画には登場しませんが、動的リスク、静的リスク等専門用語が出てきます。そういう時代になったようですね。

勿論、"ランチェスターの法則"なる会戦における戦闘員の減少を数理モデル化した法則などいまからもう100年も前に登場しているので。

やはり数学は総てを制するのですかね。                八点鐘                                 

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