レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「Mishima ミシマ」ポール・シュレーダー監督の三島由紀夫を扱った力作…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「Mishima ミシマ」(1985)です。あの三島由紀夫を扱った映画で、ご遺族から反対もあり日本では未公開になっています。

映画は、「美」「芸術」「行動」「文武両道」四部構成になっています。それぞれを代表する彼の作品「金閣寺」「鏡子の家」「奔馬」を映像化しながら彼自身の生い立ちを説明しおり、「文武両道」のみ事件当日の行動を丁寧に描写された映画になっています。

こういう構成をしているので、映画はポール・シュレーダー監督による三島由紀夫映画になっています。だから、三島由紀夫作品に思い入れの強い観客は拒絶的な反応を占めるのではないかと思います。幸い、私は三島作品に強い思い入れは無いので興味深く鑑賞できました。

まず、鑑賞して驚いたのはハリウッド映画でありながら、全編日本語、英語字幕になっています。そしてフィリップ・グラスのミニマル音楽、素晴らしく心に響きます。

そして、簡素だがとても凝ったセット、原色を多用した色彩設計、フラッシュバックを多用した編集で、定期的に映画を鑑賞される映画好きな方はかなり楽しめるのではと思います。

そして、この作品、当時の日本映画界オールスター作品になっています。このキャスティングは凄いですね。主演緒形拳、大谷直子、笠智衆、萬田久子、佐藤浩市、池辺良、沢田研二、鳥丸せつこ、永島敏行、勝野洋等びっくりしました。

映画はとても良く出来ています。いや、感心しました。シュレーダー監督のベストではないかと思います。トヨペット・コロナに乗り込んだ三島と楯の会のメンバーが唐獅子牡丹を合唱するシーンなんかとても良いなと感じ入った次第です。

三島由紀夫が自決した時、私は中学生だったので昨日のことのように覚えています。「楯の会」を彼が結成したニュースを見て、こんなに頭の良い人がなんで児戯に等しいことをやるのだろうか分かりませんでしたが、この作品を見て何となく理解できました。私には文筆業でやるべきことを成し遂げたので、ただただカッコよく人生に幕切れをしたかったように思います。本当に真の日本人の様に誉れ高く立派な幕切れでした。私の駄文を読んで興味を持たれた方は、ぜひ鑑賞して下さい。決して失望することは無いと思います。

このブログ作成にBD版(クライテリオン製)を鑑賞しています。画質、音質はすこぶる良かったことを記しておきます。                 八点鐘

 

 

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