レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「永遠のマリア・カラス」伝記映画と思ったら意外に面白いフィクションドラマですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「永遠のマリア・カラス」(2002)です。

映画は1977年、3年前の日本公演に失敗しパリで隠遁生活をしているカラス(ファニー・アルダン)を音楽プロデューサーのラリー(ジェレミー・アイアンズ)が訪れるところから始まります。

カラスは彼に「もう昔の歌声は出ない」と言い、彼女の焦燥しきった姿を見て、ラリーは彼女にある提案をします。

「技術は進歩している。一番脂の乗り切った歌声を君の姿に被せた映画を作ろうじゃないか」と。テスト映像を製作にカラスに見せると彼女は驚き、オペラ<カルメン>が始動するのだが…

美しい映画だが何か物足りないと以前「ブラザー・サン シスター・ムーン」をこのブログで紹介しました。ゼフィレッリ監督は映画監督ではなくオペラ演出家なんだと思いました。でも、この作品は違いますね。とても巧い語り口で引き込まれました。

ファニー・アルダンとジェレミー・アイアンズのキャスティングも良いし、二人とも楽しく演じており、二人の友情と言うか信頼関係がとても良く描けていて。ラストも好いですね。映画を見ると解りますがジェレミーはホモセクシャルなので…

もう一つ、この映画ですが日本だけで大ヒットしました。だから、DVDにはゼフィレッリ監督のインタビューが収められており、日本人、日本文化大絶賛のコメントが述べられており、これだけ褒めてくれる人も珍しいなと言う感じで。でも、本当に心の底から言っているようなので悪い気はしませんが。

「カラスは努力の人だった。君達もカラスの様になりたいのなら努力して下さい。一流のピアニストになりたいのであれば、毎日7時間は練習する必要がある」とあのゼフィレッリ監督が言うのであれば間違いはないでしょう。

私がマリア・カラスを知ったのは「王女メディア」でした。パゾリーニ監督作品なのでカラスの演技と言うよりその堂々とした存在感に圧倒されました。癖のある映画ですが、興味のある方はぜひ鑑賞して見て下さい。面白い作品です。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。           八点鐘

 

追記 よくハリウッドのプロデューサーからカラスの映画を作ってくれと言われるが、彼らが欲しているのはスキャンダル映画だ。そんなものは作りたくない。だから、この映画を製作したんだ。その本質を理解してくれたのは世界で日本人だけだとゼフィレッリ監督は上機嫌で答えていました。うーん、美しいですね。

 

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             左がゼフィレッリ監督