レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「歓びの毒牙」(1970)です。
アメリカ人サム(トニー・ムサンテ)は、ある画廊で女性がナイフを持った男に襲われているのを目撃、助けに行くが二重ドアに阻まれて身動きが取れなくなった。女は画廊オーナーのその妻だった。彼女は負傷だけで一命を取りとめた。警察は、容疑者としてサムを拘束し彼はパスポートを取り上げられた。それは最近イタリアで起こっているブロンド女性ばかり狙われる連続殺人事件4人目の犠牲者だった。彼は興味を持ち、独自で調査を始めるのだった…
フレドリック・ブラウンの小説「通り魔」を映画化したこの作品、鮮血ドバーのジャッロ映画ですが、製作が1970年なのでそんなにビックリするほどではなく、楽しめました。不気味な男達が登場しますが、いま私達が生きている時代の方がもっと攻撃的でに且つ底知れぬ不気味さを感じます。
なかなか面白いテーマで、編集、カット、カメラアングル等凝ってやりたいようにやっていますが、全体にもう一息の感があります。但しピーター・ブリューゲル風絵画が謎を解く鍵になっているのが良いですね。
ラスト近く暗闇の部屋に閉じ込められ、そこに縛られ猿轡をされた恋人ジュリア(スージー・ケンドール)が床に転がっているショットはヒチコック風でなかなか良いですね。うーん、美しいです。
全体にもっとヒチコックタッチを上手く利用すれば、もっともっと良くなったと思いますが。
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾
追記 スージー・ケンドールは「爆走!」ではヒロインを、冒頭に襲われる女性を演じたエヴァ・レインツは「パーマーの危機脱出」でイスラエル諜報員を演じていたことを映画を見ながら思い出していました。まあ、どうでも良いことですが…