レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「虐殺器官」夭折のSF作家、伊藤計劃(いとうけいかく)の力作・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「虐殺器官」(2017)です。ここでは、あまりアニメを取り上げることはありませんが、良く出来た作品なので取り上げたいと思います。

 

このアニメ作品「虐殺器官」は、伊藤計劃氏の小説を忠実に映像化したものです。ストーリーは、サラエボで核爆発が起こり、全世界中で治安が脅かされるようになり、開発途上国で虐殺事件が多発するようになった。

米国情報軍に勤務するシェパード大尉は、途上国で虐殺事件を扇動していると思われるジョン・ポールを暗殺する指令を受け、彼が潜伏しているチェコ共和国プラハに向かう。そこでジョン・ポールに加担する「計数されざる者」という組織に拘束され、ジョン・ポール自らシェパード大尉に「人間には虐殺を司る器官が存在し、器官を活性化させる“虐殺文法”が存在する。俺はちょっとそこの部分を押しているだけだよ」と告げられる。

米軍の急襲で何とか脱出に成功したシェパードは、ジョン・ポールが潜伏しているインドに向かうのだが・・・

 

大変エッジの利いた作品になっています。加えて、現在、世界が抱えている問題に正面から向き合った作品になっています。例えば、少し前ご紹介した「ウォーク」という映画、大変良く出来ていますが、どうしていま地上440メートルの綱渡り何ですか?と問われれば、返答に窮すると思いますが、この映画は、少し描写の厳しいところもありますが、世界が抱えている問題に向き合っています。その今日性、思想性は評価されるべきだと思います。

又、シェパード大尉達が使用する火器類のデザイン、ステルス輸送機フライングシーウィード、イントルードポッド等小道具のディテールまできめ細かくデザインされているのも好ましい。計劃はこの作品で作家デビュー後、わずか2年で早逝してしまった。大変残念である。この作品の監督は村瀬修功、原作の持ち味を生かした良い仕事をしています。

このブログを作成するにあたりBD版を鑑賞しています。       八点鍾

 

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