レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「影なき狙撃者」J・フランケンハイマー監督 不快な程先見性のあるエスピオナージ・スリラー映画・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「影なき狙撃者」(1962)です。

 

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監督はジョン・フランケンハイマー、ハリウッドで60年代最も力量があった監督と言って良いと思います。このブログでもご紹介した「5月の7日間」も軍部によるクーデターという一流のテーマ選びと馬力のある演出力で一級のサスペンススリラーになっていました。

 

原題をThe Manchurian Candidate : 満州人の大統領候補者と言います。この作品は、とても政治的な作品ですが、とても異様なテーマを扱っています。簡単に説明すると"洗脳"というテーマです。朝鮮戦争で捕虜になり、ソ連、中国で洗脳された米軍人が大統領候補者を暗殺するという何とも生々しいストーリーがいまだにこの作品を問題作として映画史の中に輝させています。

 

映画は、マーコ大尉(フランク・シナトラ)指揮する偵察小隊が中国義勇軍に拘束されるところから始まります。が、ショウ軍曹(ローレンス・ハーヴェイ)は帰国後、小隊を救ったとして名誉勲章を授与される。

マーコ大尉は、帰国後夜な夜な悪夢に悩まされる。それはロシア人、中国人の前で部下がマフラーで同僚を絞殺したり、こめかみを拳銃で射殺する夢を。又、同時にジョージアのホテルで老婦人達に紛れての園芸説明会の夢も見るのだった。

この辺り、この映画の一番の見所でグロいシーンはありませんが、何とも言えない嫌なシーン。半世紀前の映画にも関わらず素晴らしい出来栄え。

 

マーコ大尉は、軍幹部に相談し且つかっての部下にもあたると同じような夢を見ていると。マーコ大尉は軍情報部に移動して、そのデータベースから夢に登場するのは実在のロシア人エージェントと医学者と知る。

 

ショウは、帰国後ジャーナリストをしていたが、母親が再婚相手アイスリン上院議員を大統領にするため画策していたことを知る。

ショウには、もう一つ洗脳が施されており、トランプ占いでダイヤのクィーンを引くと相手の言いなりに行動するというもので、母親は彼に義父アイスリンの政敵ジョーダン議員を無意識のうちに暗殺させる。同時に彼の新婦である娘のジョスリンを射殺する。この辺りの描写も殺伐として何とも言えない雰囲気。

ショウは、戦争前にジョスリンと付き合っており、帰国後、両親に連絡することなく彼女と結婚しており、殺害後彼は人事不詳となり、ホテルに隠れてしまう。

 

ショウからの連絡でマーコ大尉は駆け付け、この陰謀を知る。が、どこで何が行われるか不明なため、彼を母親の下に帰し、彼からの連絡を待つ。

 

母親は、ショウに私は東側の為に働いており、ショウが洗脳されるとは分からなかったが、これはまたとない機会で、あなたが大統領候補者を狙撃すれば、副大統領候補の義父が大統領にと。

マーコ大尉はショウから連絡が来ないので、仕方なく当りを付けて党大会に出掛けるのだが・・・

 

原作はリチャード・コンドンの同名の小説、読んだことありますが、ほぼ忠実に映画化しています。一部を除いて、演出は全体に古さを感じますが、とても良く出来た作品です。映画クラシックと言ってもいいと思います。

 

この作品は1962年に公開されており、翌年11月22日にケネディ大統領が暗殺されたので、それを揶揄して不快な程先見性のある映画と言われています。

蛇足ですが、第二次大戦後又は朝鮮戦争後、日本人捕虜、米人捕虜は撫順戦犯管理所に送られたと聞いています。興味ある人はWikiで調べて見て下さい。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。        八点鍾

 

 

洗脳をテーマにした別の映画

 

wedplain15.hatenablog.com

 

 

 

 

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