レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「いのちの戦場‐アルジェリア1959」(2007)です。日本の公開は2009年。
アルジェリア戦争を描いた映画と言えば、ジッロ・コンテコルヴォ監督「アルジェの戦い」とかマーク・ロブソン監督「名誉と栄光のためでなく」が有名だと思います。
当事国フランスからは出てこなくて、例えば、アラン・レネ監督「ミリュエル」のような映画はありましたが、ようやくこの作品が出て来たところです。
監督はフローラン=エミリオ・シリ、あの「スズメバチ」ハリウッドで監督した「ホステージ」のあの人です。主演は「ナイト・オブ・ザ・スカイ」のブノワ・マジメル。
「アルジェの戦い」は首都アルジェにおける武装闘争を描いていましたが、この作品はアルジェリアの山岳部における武装闘争を描いています。物凄く険しい山岳風景を見て私は驚きました。
戦いは山岳戦。フランス陸軍部隊は崖の上に簡易的な砦を作り、そこに駐屯して治安維持活動、パトロールに出掛けるのです。
小隊規模(フランス兵とアルキ:アルジェリア徴用兵が大体半分くらい)でパトロールに出掛け、FLN(アルジェリア民族解放戦線)のゲリラ部隊(フェラガ)と交戦、殲滅を繰り返している。
映画は、ある夜間作戦時、連絡ミスで同士討ちが発生、中尉が戦死し、新任テリアン中尉(ブノワ・マジメル)が着任し、古参ドニャック軍曹と小隊を指揮して、テリアンは戦場に慣れていく。
淡々とパトロールを描写していところがとてもいい。FLNは義賊ではなく、山村から革命税を徴収しており、時には村民虐殺、命令不実行者の鼻をもいだりしている。
フェラガを拘束すれば、電気拷問は当たり前で、その情報からテリアン小隊はフェラガを待ち伏せするが、反対に挟み撃ちに会うが、ドニャック軍曹の反撃とフランス空軍のナパーム弾攻撃でフェラガを殲滅する。
パトロール中に兵士が撃たれ、ヘリを要請するがすべて出払っていて、情報将校ベルトー大尉が助けに来るが、負傷兵とベルトー大尉が運転するジープがフェラガに襲われ、惨殺され、部隊は報復を行うことになるのだが・・・
ラストも突き放したようなラストで・・・
フェラガという非正規軍と殲滅戦を演じるので、映画の味わいとしては「プラトーン」と「フルメタル・ジャケット」を足して2で割ったような味わいです。特にドニャック軍曹を演じたアルベール・デュポンテルが素晴らしい。
小隊が攻撃されていると知るや否や、分隊を率いて口に弾倉をくわえ軽機を構えて、小隊救出の為、突撃を敢行します。物凄くカッコ良く見えます。
ドロドロの戦場をとても良く描いた映画です。ディテールの素晴しい映画と言って良いと思います。フランス兵とアルキ兵の軍服、リアルな装備等、又登場人物のその詳細な生い立ち。
アルキの一人は、上半身に物凄い傷が、1943年モンテ・カッシーノで独軍と戦って受けた傷だと。彼はWWⅡでフランス解放の為、自由フランス軍で独軍と戦った兵士だったのです。そんな彼を見ていると、切なくて・・・
1959年のクリスマス、飲んて騒いでバカ騒ぎ、戦死した仲間の一人が撮影していた8ミリフィルムをよせば良いのに上映して、戦死した仲間が出て来て、皆しんみりとなって・・・
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾
追記 邦題「いのちの戦場」だと良く判りませんよね。原題は内なる敵、近い敵の様な意味らしいです。