レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「愛の落日」(2002)です。
1950年代初めのサイゴン、英国人ファウラー(マイケル・ケイン)は記者として英国へ記事を送りながら、フォン(ドー・ハイ・イエン)と言う若いベトナム人女性と気楽に暮らしている。北部ではべトミンとのゲリラ戦が生起しており多くの集落が犠牲者で埋め尽くされていた。そんな時、ファウラーはある若い米国人パイルと知り合う。医療支援を行う民間人だと言うが、一緒に或る最前線を取材し帰還する時に、ガス欠で近くの監視塔に身を寄せるが、そこがべトミンに襲われるが彼の手引きで難を逃れるのだった。ファウラーは彼が米国工作員だと気付くのだが…
まず、マイケル・ケインが主演しているサスペンススリラーです。不勉強にもこの作品全く知りませんでした。原作がグレアム・グリーン、あの名作「第三の男」の原作者なので、早速手に入れて鑑賞しました。
本当に新聞紙社の記者かどうか、不明な意味ありげな男ファウラーを演じているマイケル・ケイン、年齢も役柄にぴったりでとても存在感があり、加えて若く聡明そうな美しいベトナム女性の現地妻と一緒に暮らして何やらいい感じで…加えて、ホーチミンロケも効果がとても出ており、とても渋く好い雰囲気です。
そんな中、医療支援者パイルと出会い、彼が工作員でベトナムからフランスが撤退した後、米国が南ベトナム側を支援して更に戦火を拡大しようとする米側を冷ややかに眺め始めるファウラーがなかなか良い。現地妻フォンとの感情のもつれも丁寧に描写していますが、もう少し端折っても良かったと思いますが。加えて、後半米国側の陰謀をもう少し丁寧に描いてもらえばもっと良かったと思います。
でも、この作品のケインは何やら意味ありげの感じが良く出ており、とても良いと思います。監督は「今そこにある危機」のフィリップ・ノイス、撮影が「花様年華」のクリストファー・ドイルと好いスタッフがいるのが更にグッドだと思います。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鐘