レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「花様年華」(2000)です。
1960年の香港。新聞記者チャウ(トニー・レオン)とチャン夫人(マギー・チャン)はあるアパートに引越し隣り合わせになる。互いの妻と夫が良からぬ関係に陥っていることを知り、チャウとチャンの関係は深まるが、ある時チャウはシンガポールに赴任となるのだが…
映画を見た時、レトロタッチの独特な映像美で、我々を驚かせた作品です。こういうスタイルのラブロマンス映画は初めてだったと思います。それもヨーロッパ、フランス映画ではなく、香港映画とは。うーん、美しい。撮影監督はクリストファー・ドイルとリー・ピンビン。
今回はすこし別の切り口をご紹介したいと思います。数年前に購入したBDには、特典映像が付いており、そう未使用映像が4つついていました。
ホテル2046号室のシーン、シンガポールでのドリアンの逸話、70年代で再会する二人、そしてアンコールワットでの再会シーンです。前3つのシーンは使用しなかったのは聡明と思いますが、最後のアンコールワットでの再会シーンは、結構良いシーンで、挟んだ方が良かったように思いますが。
現行の作品では、ラスト1966年唐突にドゴール大統領がカンボジア訪問するシーンから始まり、作品の中では浮いてる感じがします。
少し説明しますと、この時ドゴールは旧宗主国の長として、インドシナ半島から米軍は撤退を、この地を中立にしようと演説したそうです。でも、それは夢のまた夢ですね。米軍撤退後、中国系クメール・ルージュがカンボジアを席巻し、物凄い大量虐殺を引き起こしています。その辺りは映画「キリング・フィールド」を思い出して下さい。
この前年から米国は本格的に南ベトナム軍事介入をしており、このシーンではチャウはチャンにベトナムに行くと言っているのです。色々な意味合いを含んだセリフになっています。この再会シーンがあると最後のカンボジアシーンがどっしりと落ち着くと思いますが。但し、少し政治的な意味合いが絡みますが。でも、とても良いシーンなのです。
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾
興味のある方は、上記サイトにアンコールワットのシーン動画がついていますので確認してください。申し訳ありませんが英語字幕です。
追記 香港があのようになってしまい、もうウォン・カーウァイ作品が見ることが出来ないのではと思います。「グランド・マスター」もいい映画でしたが、何か違うような気がして…