レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「2046」これは傑作「花様年華」の一風変わった続編ですが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「2046」(2004)です。

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1960年後半、シンガポールにいた作家チャウ(トニー・レオン)は、ある女性と賭けをして負けて、再び香港に戻る。香港は暴動で殺伐としており、ホテルを宿にして官能小説を書き始める。支配人の娘は、日本人の恋人タク(木村拓哉)がおり、父に話すとなんで日本人なのだと怒りまくる。

隣の部屋「2046」には、バイ・リン(チャン・ツッイー)が住んでおり、ある時互いに気にするようになり、チャウは「2046」を舞台にしたSF小説を書き始める。やがて、些細なことからバイ・リンと別れることになり、一人タクシーでホテルに帰るところで映画は終わる。

 

 独特な映像美とスタイルを持つウォン・カーウェイ監督作品です。当初、劇場で見た時、それほど面白いとは思いませんでした。でも、赤と緑を基調にした画面レイアウト(撮影はクリストファー・ドイルと他二人)、2046に向かう高速列車など結構見所はありました。

 

映画にのれなかった理由は、一つには前作「花様年華」を見ていなかったこと。加えて、木村拓哉が助演しているのも原因かな、悪くはありませんが。

申し訳ありませんが、彼を見ていると現実に引き戻されるようで。私にとって、映画を鑑賞することは非日常を求めているのかもしれません。

勿論、題名「2046」はホテルの部屋番号ですが、1997年から50年後ということは知っていました。

 

今回、再度鑑賞して、やはり50年後が本当の隠し味になっていることを再確認しました。67年香港暴動記録ニュースがインサートされていたとは、すっかり忘れていました。

チャウが官能小説を執筆する代りに執筆するSF小説「2046」は、一部映画の中に再現されますが、それはゴダールの「アルファヴィル」を参考にしているようで、それはディストピア小説のよう。理由は「2046」から戻ってきた人はいないと何度も繰り返されるから。

でも、チャウとバイ・リーンの恋の駆け引きなんか見ているととても良い映画なんですがね・・・

 

 

香港問題は現在進行形ですが、カーウェイ監督にはこうなることが解かっていたのでしょう。だから、オムニバス、再編集作品を除くと次作「マイ・ブルーベリー・ナイツ」経て、その次は「グランド・マスター」だから。

この作品、とても良く出来ていますが、彼のキャリアから見ると全く彼らしくない作品です。勿論、見所はありますよ。でも、与えられた作品の様。

 

以後は私の邪推ですが、彼はTVシリーズ等で活躍しているようです。映画は撮っていません。映画を撮るのであれば、ポランスキーの様に海外に行くしかないようですが

黒澤明もソ連で「デルスウザーラ」を撮った時は本当に大変だったと言っていますから。でも、彼は復活しました。

そう考えると、残りは大学映画学科の教授と言ったところですか・・・

残念だな、もっともっと映画を撮って欲しいのに。

 

難しい処ですね、あの国は。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。         八点鍾

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