レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「追悼のメロディ」原題は"敵の死体"  あのウィリアム・ブレイクの詩から・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「追悼のメロディ」(1976)です。

 

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アンリ・ヴェルヌイユ監督のフィルムノワールです。労働者階級の主人公が上流社会を目指すが、罠にハメられ、そして投獄、その復讐を成し遂げるピカレスクロマンというか「モンテクリスト伯」のような復讐談の映画化です。

 

北フランス、地方都市クルネイ、ここは繊維の街。ルクレール(J・P・ベルモンド)が殺人の罪で7年の刑期を終えて、列車から降りるところから映画は始まります。7年の間に街は変わった。

 

昔の仲間を訪ねて、誰が俺をハメたのか?過去と現在を巧みにフラッシュバックさせた作りで、物語は進行する。街の実力者リエガー(ベルナール・ブリエ)、その娘ジルベルト(マリー=フランス・ビジェ)、彼らに取り入って成功の階段を上り始めたが、父親の市長選が影響して彼らと別れ、今度は、街に趣味の良い高級バーを開店させて荒稼ぎを始めたが、護身用拳銃を盗まれてそれが殺人に使われて・・・

 

超ベテラン、ヴェルヌイユ監督なので、大変うまく纏められています。特にこの作品の場合、ベルモンドが渋くて、とても好い。主人公とベルモンドの実年齢が重なり、見ていて違和感が全くない。明るい役も多いのだが、この時代は「ラ・スクムーン」「相続人」「薔薇のスタビスキー」などとても好い作品が多い。

 

復讐の仕掛けをして駅のホームで、街で知り合ったシャルロットという女性を見つめるルクレールの視線とリエガーを狙う殺し屋のスコープをカットバックするシーンは面白い趣向。こういう趣向は映画ならでは。音楽はフランシス・レイ、いつもと少し違う渋めの音楽が画面を引き締めます。

 

原題は ”敵の死体”、あのウイリアム・ブレイクの詩(経験の歌、毒の木)からとったものだと思います。私はこの映画で、ウィリアム・ブレイクを知りました。だから、フランス映画は侮ることが出来ません。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。           八点鍾

 

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敵の死体