レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「愛人/ラマン」マルグリッド・デュラス自伝映画、貧困の為崩壊した家庭、母の悲しみを必ず小説にしてやる・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「愛人/ラマン」(1992)です。

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デュラス「愛人 ラマン」は、確か時間軸を壊した小説で、色々なエピソードが乱脈に登場するものだったと記憶しています。脚本は監督J・J・アノーとジェラール・ブラッシュ(ポランスキー作品の脚本を良く担当しています、例えば「テス」「袋小路」)

大変だったと思いきや、同じ題材でデュラスは「北の愛人」と言う作品があり、こちらは分かり易いと名作読書ブログに書いてありました。何だ・・・

 

映画は、仏領インドシナ(現在のベトナム)、家族が住んでいるサディク(現在はサデーク)からサイゴン(現在はホーチミン)に戻る"私"(ジェーン・マーチ)は、メコン河の渡し船の上で高級車ビュイック シリーズ90に乗っている中国華僑"実業家"(レオン・カーフェイ)と知り合う。そして、サイゴン迄送ってもらうことになる。

 

私はサイゴンの寄宿学校に住んでいるが、やがてリセに実業家のビュイックが現れ、私はその車に乗ってショロンにある彼の部屋を訪れ、深い肉体関係を結び始める。

 

ある時、私は実業家と共に母の深い悲しみの場所を訪れる。父の死後、かけなしの金で仏人の地方官史に騙されて、満潮になると沈んでしまう海岸縁の土地を購入し、何度も防波堤を作るのだが、やがて徒労に終わり、家庭は崩壊に瀕し、私は小説家になって、母の悲しみを書くのだと実業家に告げるのだった。

 

やがて、実業家は別の女性と結婚し、私は家族と共にフランスに戻るのだが・・・

 

映画は大変良く出来ています。特に、好ましいと思うのはジャンヌ・モローが、その深みのある少しかすれた声を生かしてナレーションを行っていることです。本当に味わいある音声で素晴らしいと思います。

又、当時、仏領インドシナの時代描写、街並み、ショロンの裏通り、サイゴン港、服装、バス、渡し船、古いシトロエン、高級車ビュイック、大型汽船等素晴らしいの一言です。

 

新人ジェーン・マーチは大変だったと思いますが、良く監督アノーの期待に応えた名演だと思います。特に、映画後半の母の悲しみの場所における静かな演技は中々好いと思います。ですが、彼女、この作品以後余り伸びなかったのは、残念なことだと思います。

 

アノー監督は、特に前作「薔薇の名前」で評価され、私はこの作品で更に評価が高まったものと思います。但し、デュラス自身はこの作品をあまり評価していないようですが、理由は主人公たちは綺麗すぎるとか、だって映画ですから仕方ないですよね。

最後に、ガブリエル・ヤレドが作曲した映画音楽も素晴らしいの一言。ぜひ、聞いてください。

 

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾

 

追記 この十年程のベトナムの発展は素晴らしいの一言。元々教育制度が優れているので、外国資本が工業団地に工場を建てて、工業製品を生産するのに適していました。人口もほぼ1億と購買市場とみても優位性があり、暫くするとタイを追い超し、東南アジアの地域大国として浮上するのではないかと経済関係者は注視しています。

 

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ここのシーンが忘れられない

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リセの寮

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ホーチミン レタントンにある撮影に使用した建物 かなり変更されている 2018,11撮影

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ホーチミンにはこういう場所もあります

 

www.youtube.com