レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「愛すれど哀しく」(1971)です。
20世紀初頭のミラノ、可憐な洗濯女ベルタ(オッタヴィア・ピッコロ)は、親の反対を押し切ってパン職人ブブと暮らし始めるが、このブブと言う青年はとんでもない男だった。働くことをせずにベルタに娼婦として働かせ、自分は遊び惚けるというヒモ男で、やがてベルタは客から梅毒を移される。そんな中ピッコロという田舎から出て来た青年と親しくなるのだが…
シャルル・ルイ・フィリップの小説「ブブ・ド・モンパルナス」をイタリア、ミラノを舞台にして映画化した作品です。監督は「ビアンカ」「わが青春のフロレンス」のマウロ・ボロニーニです。
この作品、ベルタという若い女性の生き血を吸うようなヒモ男ブブがトコトン可憐な彼女を絞り上げる映画で、男性として見ていてとても辛くなりました。ベルタはブブによって負のスパイラルに落ちて這い上がることが出来ない。ブブは自分が恥ずかしくないんだろうか? と私なんか考えますがネ。まあ、映画ですが。
この映画の特徴として、特に時代考証が素晴らしく映画冒頭のベルタが働いている洗濯場、ブブのアパート、医療収容施設、服装、当時の女性下着等中々見せてくれます。そうですね、全体にイタリア・ネオリアリズムの影響を受けている感じがします。
そういう意味で、ヴィスコンティ監督「若者のすべて」、ポランスキー監督「テス」、マル監督「プリティ・ベイビー」、J・J・アノー監督「愛人/ラマン」を思い出しながら鑑賞しました。ラストも救いようのないラストで…
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鐘
追記 70年前後は、現代よりイタリア映画が良く上映されていました。この作品、劇場でも鑑賞したことがあります。ボロニーニ監督の次作「哀しみの伯爵夫人」も劇場で見ています。カトリーヌ・ドヌーブ主演の作品でこれも趣味のいい映画ですが、日本では残念なことに、DVD/BD共に発売されていないのでご紹介できません。やはり確認の為再見しないと…