レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「さすらいの二人」(1976)です。
この映画は、独特の映像スタイルを持つミケランジェロ・アントニオーニ監督後期の作品です。愛の不毛、孤独、不安などをテーマにした映画が得意な監督です。
この作品は、彼のフィルモグラフィーから見ると、「欲望(1967)」と共にサスペンス色の強い映画になります。
当時、人気絶頂のジャック・ニコルソン(カッコーの巣の上で)とこれまた話題のマリア・シュナイダー(「ラスト・タンゴ・イン・パリ」の共演が話題を呼びました。
映画は、少しばかりポリティカルサスペンス風で、北アフリカで反政府ゲリラの取材をしていたロック(ジャック・ニコルソン)は、ジープを砂漠でスタックさせ、炎天下フラフラになってホテルに戻る。隣のロバートソンの部屋を訪れると、何故か彼は死んでいた。
何気なくロバートソンを見ると、意外と自分に似ていることが判り、彼はロバートソンになり、自分(ロック)を死んだことにしようと。加えてパスポートを偽装して。
ロンドン、ミュンヘンと戻り、彼が持っていた鍵でコインロッカーを開けるとロバートソンは不法な武器取引を生業としていたことに気付く。つけていた男達が資料を要求するので、コインロツクに保管してあった武器関係の資料を渡すと、男達は報酬を渡してくれた。彼は驚き、バルセロナに逃げるが、ここでも何者かが彼をつけ回していた。
又、ロックが死んだと知った妻も、死亡当時同じホテルにいたロバートソンの行方の捜索を警察に依頼する。
ロバートソンは、バルセロナ、カサバトリョで不思議な女性(マリア・シュナイダー)に出会い、マーキュリー・コメットを購入、一緒に逃げ始める。
やがて、謎の男達と警察両方から追われ、二人は別れて逃亡することに。タンジールのホテルで再会しようと約束するのだが・・・
少しルーズなところもありますが、なかなかサスペンス映画として纏まっています。
でも、サスペンス映画より愛の不毛、人の不安を描く監督なのでゆったりとした感じです。
でも、この映画の魅力はこういう正体不明な役をやらせると俄然輝くマリア・シュナイダーだと思います。決して間口の広い女優ではありませんが、こういう役は自然体でとても上手い。同時期の作品「危険なめぐり逢い」もとても良かったことを思い出しました。
そして、タンジールのホテルで二人は再会しますが、ここのロングテイクは、あのメルヴィルの「いぬ」のように素晴らしいの一言。謎の男達が現れ、警察もロパーソンを発見しますが・・・
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾