レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ウェスト・サイド・ストーリー」(2021)です。
そうです、ロバート・ワイズ監督の傑作ミュージカル映画のリブート作品です。私は、ミュージカル映画があまり好きではありません。個人的にミュージカル作品は明るいプロットでないと良くないのではと考えています。だから、ミュージカル映画の古典と言っていい「ウェスト・サイド物語」はどちらかと言えば、「ロミオとジュリエット」をもとにしているとは言え、ギャング団の抗争のお話でノワールスリラー要素が多いので…だから、ロバート・ワイズ監督が選出されたと私は思っています。
こういうタイプのミュージカル映画って、例えばリチャード・アッテンボロー監督「素晴らしき戦争」(1969)というミュージカル、志は高いのですがやはり重く暗いので、ラストを除いて本当に面白くありません。当然興行成績も悪く、ミュージカル映画では亜流だと思います。
今の時代から見るとロバート・ワイズ監督版70ミリミュージカル映画は、ワイズ監督の演出力、レナード・バーンスタインとスティーブン・ソンドハイムの作曲と歌詞が素晴らしく映画も傑作ですが、やはりどことなく古臭く感じます。
対して、このスピルバーグ版は、セット撮影を極力減らして、カメラを屋外に出し、ショット数を多く、ダンスシーンをより躍動的に捉えています。いや、私はこちらの作品の方が見易くなっていて、迫力があると思いました。
そういう意味で、傑作古典作品を変にいじらなく、新しい観客に理解しやすく創り上げた傑作リブート作品だと感じました。うーん、美しいです。
スピルバーグ監督は、ロバート・ワイズ監督より映画的センスは優れているように感じました。力の入った映画で、本当にスピルバーグ監督は凄いの一言です。 八点鍾
私にとって、ワイズ監督は「拳銃の報酬」「砲艦サンパブロ」「アンドロメダ」「ヒンデンブルク」ですね。