レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「THE BATMAN ザ・バットマン」(2022)です。
監督マット・リーヴス版「バットマン」です。上映時間約3時間の力作です。ティム・バートン版、ジョエル・シュマッカー版、クリストファー・ノーラン版等に比較してノワール味の強い作品に仕上がっています。
だから、監督の意図は判るのですが、夜間のシーンが多く黒一色で塗り上げられたような映画になっています。その昔、「ブレードランナー」が公開された時、暗い作品だと言われましたが、それ以上の作品に仕上がっています。
ストーリーもゴッサムシティーの都市開発での汚職問題になっておりあまり爽快感がなく、暗鬱、陰湿で、私にとってあまり感性の合わない作品になっています。更に登場する女性も華やかさがなく、うーん沈み込みたくなるような映画になっています。
バットマンカー、バットマンポッドもレトロ感たっぷりで首を捻ってしまいます。但し、私はコミック味の強いティム・バートン版、ジョエル・シュマッカー版より好ましいと思いますが。個人的には、もっともっとディテールに凝って貰うと楽しい作品になると思います。ノーラン版がそうであったように。
だから、ブルース・ウェインを演じるロバート・パティンソンも「テネット」の時はなかなか良かったのですが、この作品では暗く重く、その昔の「トワイライト」シリーズの様で。
バットマンの登場ももっともっと華やかさが欲しいと思います。だって、正義のヒーローだから。ラストシーンも空はどんよりと曇った感じで、爽快感は少なく、でも好きな人にはたまらないのかもしれません。米国本国では、興行成績は良さそうですが、このスタイルですと日本の観客は喰いついてこないと思います。
そういう意味で、少しばかりの考えさせられる作品でした。自宅でBD版を鑑賞すると別の味わいが感じられるのかもしれません。 八点鍾
追記 こういうスタイルで映画化したいのであれば、「ブルータル・ジャスティス」を監督した"暴力の伝道師"と呼ばれるS・クレイグ・ザラー監督にした方がもっとすっきりすると思いますが。意外に好い味出したりして。但し、しっかりと手綱を持っている必要があるかもしれませんが。
ブルータル・ジャスティス