レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「戒厳令」ウルグアイで起こった都市ゲリラ、ツパマロスによる米人誘拐事件の顛末を描いた映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「戒厳令」(1972)です。

70年、ウルグアイで国際開発局米人職員サントーレ(イヴ・モンタン)が都市ゲリラ、ツパマロスに拘束された。政府は戒厳令を敷き、しらみつぶしに捜索を始めるのだった。ツパマロスは拘束したサントーレに尋問を始め、彼が何者か調べ始めるのだが…

メッセージ性の強い映画が得意なコスタ=ガブラス作品です。ガブラス監督言えば、グリコリス・ランブラキス暗殺事件を描いた「Z」、チェコスロバキアで起こったアルトゥール・ロンドンの手記を映画化した「告白」そしてこの作品を"三部作"として知られています。何れも良く出来ています。善悪がはっきりしている「Z」を除いて、何れも観客を選ぶ作品です。特に「告白」はとても良く出来ていますが、ついて行けないというか予備知識がないと理解出来ないと思います。

この作品は、そんなことはなく一応この手の映画が好きな人であれば、問題ないと思います。視点も正しく、ポリティカルサスペンスとして鑑賞してもいい作品です。そう、あのジンネマン監督の名作「ジャッカルの日」のように。

特に、この作品、撮影はアジェンデ政権下のチリで軍隊、警察等の協力のもとで行われており、なかなかの迫力、雰囲気を持った作品になってます。こういう大がかりな作品もガブラス監督は出来るのだと驚く程です。

特に、警察関係、ツパマロスの描写等とてもリアルで、又米国治安関係組織での教育内容等恐ろしい程リアルでビックリする様な映画ですが、それを淡々と映像化しているガブラス監督、素晴らしいと思います。今回再見してご贔屓レナート・サルヴァトーリが敏腕ロペス警部に扮して、ツパマロスのアジトに急襲、一人又一人と都市ゲリラを拘束するシーンはサスペンスたっぷりで、うーん美しいです。

ガブラス監督は、その後ハリウッドに行き「ミッシング」「背信の日々」等を製作、再びフランスに戻り、映画製作を続けている。でも、もうご高齢なので映画製作は難しいと思いますが。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。       八点鍾

 

追記 でも彼の未公開作品「スペシャル・セクション」は一度見てみたいと思っていますが。ああ、もう一つ「戒厳令」という映画があります。吉田喜重監督の映画です。思想家北一輝と226事件を描いた作品で、これも又予備知識がないとシンドイ作品ですが…

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