レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「御用金」TVシリーズ「三匹の侍」五社英雄監督劇場映画第一作ですが…

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「御用金」(1969)です。

ずっとこの作品がBD/DVD化されるのを待っていました。最近、DVD化されたので鑑賞しました。

今回はその印象をお話したいと思います。60年代中頃、フジテレビに於いて「三匹の侍」という時代劇が話題になり、フジテレビが映画界に進出にあたりこの監督五社英雄が選ばれたという経緯があります。

五社監督は、どちらかと言うとあまり間口の広い監督ではなく時代劇、ヤクザ映画が多く私の好みではありませんが、この「御用金」と三島由紀夫が共演している「人斬り」はずっと見てみたいと思っていたので、次に「人斬り」もアップします。

この作品は、天保2年(1831)越前鯖井藩で起こった漁民約30名神隠し事件の謎と佐渡島からの御用金強奪の二つの出来事を絡めた話ですがあまりブレンドが良くありません。主人公脇坂孫兵衛(仲代達矢)の正義心も薄っぺらでのれないし、というより何か彼の存在そのものがこの映画では重く、主人公を中村錦之助演じる隠密藤巻左門にした方が痛快な映画になりそうな感じです。ですが、のんびり見る分には最適な作品といって良いでしょう。

劇場映画第一作と言うこともあり五社監督は緊張したのでしょう。全体に取り留めのない感じで、一番の見せ場御用船に積載されている御用金強奪シーンの前後が盛り上がらないのが致命的です。ラストの仲代と悪玉丹波哲郎の真剣勝負ももう一つです。

この映画の見所は、冬を舞台にした時代劇、下北半島でロケをしたという美しい風景、撮影は岡崎宏三、"神隠しのおりは"を演じた浅丘ルリ子、隠密藤巻左門を演じた中村錦之助、音楽佐藤勝あたりでしょうか。岡本喜八監督辺りが担当していたら、もっと面白くなったと思いますが。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。       八点鍾

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