レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「チェ 28歳の革命」(2008)です。監督はスティーブン・ソダバーグです。
この映画を鑑賞しながら、その昔リチャード・フライシャー監督作品「ゲバラ!」(1969)と「モーターサイクル・ダイヤリーズ」(2004)を思い出した。若いゲバラを描いた「モーター・・」はさておいて、「ゲバラ!」はオマー・シャリフがゲバラを演じて、英語を話すという代物で大した映画ではないと記憶しています。
対して、この映画は素晴らしい。ベニチオ・デル・トロがチェを演じて、全編スペイン語を喋りまくる。「ソラリス」も悪くなかったが、やはりソダバーグ監督はこういえ映画で本領発揮していると思います。
1956年、小さなプレジャーボート「グランマ号」に同志82名と共にメキシコを出発、キューバに向かう。山中に隠れながら政府軍と対決し、他の部隊と共闘、サンタ・クララの戦い迄を描いているが、途中、ハバナでのインタービュー、64年の国連総会の有名な演説「祖国か、死か」をカットバックさせている。とても良い効果をあげています。
チェはアルゼンチン富裕層出身の医師、喘息持ちで学生時代、当時アメリカの裏庭と呼ばれた南米をオートバイで徘徊し、社会主義に目覚めたと聞いています。
ハバナに彼らが入場した時同志は12名とか、サンタ・クララでの家の壁を叩き壊して敵が立てこもっている教会に突入するエピソード等興味深い。
82名の同志で革命を起こし国を乗っ取った彼らは凄い、奇跡とか呼ばれるが、この映画を見る限りでは阻止できなかったバティスタ政権側に問題がありそうだ。
まず、国民に対して最低限の富の再分配を行っていないようだ。これはチェに合流してくる人たちを見ると判る。殆どが読み書きが出来ていなく、又国による医療サービスを受けていない。1958年、4・9ゼネストもかなり厳しくに弾圧したようで、ここで潮目が変わったようです。その後、1959年1月1日にバティスタがドミニカに亡命となる。
これを見る限り、バティスタ側の政権運営はお粗末と言っていいと思います。対して、政権を取ったカストロ側は、武力闘争によって奪取しているので幹部に経済通がいない。いずれにしても、経済的困窮を見るのは明らかだし、武力闘争に味を占めた一部の仲間は、革命を輸出しようとします。
これは当然のことで、フランス革命でもロシア革命でも同様なことが起きています。ベトナム戦争でも、北ベトナムが革命を輸出し、南ベトナムが倒れたら、ラオス、カンボジア、タイと革命政権が出来るというドミノ理論から米国は派兵しています。何とか防ぎました。実際は、ベトナムの経済的困窮からそうはなりませんでしたが。
ということで、大変現実的なテーマを扱った政治映画としてとても良く出来た作品だと思います。現代を生きる我々に色々な示唆を与える映画になっています。第二部「チェ39歳 別れの手紙」はカストロと決別してボリビアでの革命運動を描きます。
ブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾