レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「トラフィック」(2000)です。
米国警察当局とメキシコの麻薬カルテルとの戦いを描いた作品で、ドキュメンタリタッチの群像劇スタイル映画です。監督はスティーヴン・ソダーバーグ、このブログではゲバラを描いた「チェ 28歳の革命/チェ 39歳 別れの手紙」を紹介しています。
映画は、米国ワシントンDCで新たに麻薬担当大統領補佐官ロバート判事(マイケル・ダグラス)が任命される。娘キャロラインは名門校に通っているが薬物に溺れ始めている。
カルフォルニア州南部でDEA捜査官ゴードンとカストロは潜入捜査をして麻薬密売人ルイスを逮捕する。
メキシコ、ティファナではロドリゲスとサンチェスが、通常勤務を外され、連邦警察サラザール将軍の下で新たな任務、暗殺者フローレスを逮捕しろと密命を受けるのだった。それはティフアナ・カルテルとファレス・カルテルの戦いの前哨戦だった…
この作品、とても良くできたサスペンススリラーでもあり、政治映画でもあります。
例えば、あの名作「フレンチ・コネクション」も麻薬を扱ったポリスアクションでしたが、この映画はあの次元の作品ではなく、もっと上層部から下部組織まで描いており米国警察当局とメキシコ麻薬カルテルの戦争は、もう勝てないのではと思うぐらい敵の組織力は資金力もあり、且つ力強くタフのように感じます。
ロバート判事が捜査関係者とミーティングしている時、
「敵の資金力は?」
「カルテルは我々以上の資金を投入しています」
「問題はNAFATA(北米自由貿易協定)です」
こんな会話を聞いていると、たかが麻薬担当大統領補佐官如きが立ち向かえる相手ではない。思わず笑いがこみあげてくる次第。
日本は海に囲まれていて幸運だった。隣国に巨大な麻薬カルテルが無くて幸運だった。国民一人一人が薬物に対して一定の距離を保っていることが幸運だった。それがいつまで続くか分かりませんが。タイでは一部薬物を緩和していますし、2024年にドイツでもソフトドラッグの一部を合法化するとか聞いているし…
各政府は麻薬戦争にもう勝てないのなら、そんなところに税金を使いたくないとでも言っているかのようで、この映画を見ているとそう感じるのだが。
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鐘
追記 勝利したファレス・カルテル、この映画の続編のような雰囲気を持つドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品「ボーダーライン」が何故あのような映画になるのか少し理解できるようになりますが。