レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「シャーロック・ホームズの冒険」ビリー・ワイルダー監督作品 Unter Dem Schloss(城の下に)・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「シャーロック・ホームズの冒険」(1970)です。

 

まず、お断りしておきますが、私はシャーロッキアン(ホームズの熱烈なるファン)ではありません。この作品は、シャーロックホームズの映画における記念すべきパスティーシュ(模倣作)第1作だと思います。

以後、ニコラス・メイヤー「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦(7%の溶液)」武闘派ガイ・リツチー監督「シャーロツク・ホームズ」シリーズ等の作品のはしりと言ってよいでしょう。

 

ワイルダー後期の作品ですが、先ず、ホンが大変良く出来ていると思います。

深夜、ベーカー街221に大変美しい女性が運ばれてきます。女性は何者かに頭を殴られ、運河に放り込まれたのですが、ホームズ宅の住所カードを持っていたので運ばれてきたわけです。彼女は一時的に記憶喪失になっており、ホームズ(ロバート・スティーブンス)とワトスン(コリン・ブレークリ)は途方にくれるが、ホームズは彼女の手に緑のスタンプを見つけ、住所カードが荷物預かりの半券と気付き、荷物を引き取りに行く。

 

その荷物からその女性はガブリエル(ジュネビェーヴ・パージュ)と分かる。彼女も記憶を取り戻し始め、失踪した夫を捜索の為、ホームズを訪れたのだと。失踪した夫の会社宛てに手紙を書き、同時にその場所を訪れるホームズ達。そこはカナリヤがいるだけの倉庫、男達が来てカナリヤとガブリエルの書いた手紙を持っていく。カナリアがいる鳥籠にはスコットランド、インヴァネスの新聞が使われていたので、ホームズ達はインヴァネスへ。

 

ネス湖周辺の古城を捜索するホームズ達。夜、船で捜索していると思いがけない者ら遭遇するのだった・・・

 

やはり、ヒチコック監督はビジュアル、ビリー・ワイルダー監督はホンの上手さですね。「サンセット大通り」「情婦」「第十七捕虜収容所」「麗しのサブリナ」どれも素晴らしいと思います。コナン・ドイルが創造した世界を壊さずに上手く自分流に構築しています。

インヴァネス&ハイランド地方の古城捜索をタンデム自転車で捜索するシーン等とても優雅でハイキング気分のようです。やはり武闘派ホームズは亜流で、流行にならなかった理由が理解できます。

 

やがて、マイクロフト(ホームズの兄)が登場し、彼が色々と説明し、ガブリエルの正体が判明します。彼女は日傘の開閉によるモールス信号でホームズに別れの挨拶を送ります。最近の映画では見られないようなロマンチックなラストです。マイクロフトはクリストファー・リーが演じます。

最後に音楽をミクロス・ローザが担当しており、オールドハリウッドの雰囲気を醸し出しています。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。      八点鍾

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IMDb

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ジュネビェーブ・パージュが美しい

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こちらは昼顔から

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又いつかと別れの言葉