レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「サスペリア」(2019)です。
映画は、西ドイツ、土砂降りのベルリンにあるマルコス舞踊団にアメリカからスージー(ダコタ・ジョンソン)が入団するためにやって来る。見事、オーディションに合格するが、団員が失踪したり、警察が調査に来たり、この舞踊団は何か秘密がありそう。友人のサラは、マルコス舞踊団の建物の中に秘密の部屋を見つける。
マダム・ブラン(ティルダ・スウィントン)は、モダンダンス「民族」を上演するため、練習を続けるスージーだが、ある時意外な事実を知ることになる・・・
「ミラノ、愛に生きる」「胸騒ぎのシチリア」で頭角を現しているルカ・グァダニーノ監督の1977年に製作された「サスペリア」のリブート作品です。
「太陽は知っている」のリブート作品、「胸騒ぎのシチリア」よりパゾリーニ監督「テオレマ」をベースにした「ミラノ、愛に生きる」の方を買いますが、この監督、結構成長株の監督と考えています。
この作品も、70年代末の西ドイツの社会情勢をバックに、スージーと母、クレンペラー博士とその妻の過去、スージーとマダム・ブランの三つの物語を重層的に組み合わせて、結構面白く鑑賞しました。
ティルダ・スウィントンはまさに適役で、彼女が画面に出ているだけで、魔女そのものの様な存在感が醸し出されています。ダコタ・ジョンソンも「フィティ・シェイズ」シリーズ、「胸騒ぎのシチリア」では余り冴えていませんでしたが、この作品ではとても艶のある演技をして、ひと回り大きくなったに感じました。
でも、最後の黒魔術集団 ? の儀式の処がね・・・
例えば、アバンギャルドダンス「民族」なんて、大胆で、とてもエロチックで迫力があり、音楽もトム・ヨークを起用して良いセンスしているんですが。
その昔、モスクワ映画祭で「仁義なき戦い」が上映されました。ロシアの人達はその抗争劇の血なまぐささに、まるで"バケツで血を汲み上げる程の流血"と表現しました。
私も、最後のシーンはまさにそう表現したいと思います。良いシーンも一杯あるのですが・・・
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾