レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「レヴェナント:蘇えりし者」(2015)です。
この作品は、1971年、リチャード・C・サラフィアン監督リチャード・ハリス主演「荒野に生きる」とほぼ同じ内容と思います。Wikiで確認したら、同じ人物ヒュー・グラスの体験を下にしているようです。
但し、「荒野に生きる」は、ザカリー(リチャード・ハリス)とヘンリー隊長(ジョン・ヒューストン)との和解がテーマでしたが、この作品では、それが復讐になります。
アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督のこの作品は、19世紀前半北米、物凄く厳しい極寒期を舞台に、毛皮猟民の驚くような体験がベースになっています。
グラス(レオナルド・ディカプリオ)一行は、毛皮を狩猟しながらミズリー川を下り、砦に戻ろうとした時、原住民の襲撃を受ける。何名かはやられたが毛皮と共に船に乗り込んで、砦に向かうが、グラスは船を降りて、山を越えて砦に戻る方が間違いないと判断して、森の中を進むと彼は熊に襲われて、瀕死の重傷を負う。
連れて帰ろうとするが、山道を超えることが出来ないので、グラスが絶命したら、埋葬することを条件に3名が残る。が、フィッツジェラルド(トム・ハーディ)は金目当てに、残ったグラスの息子を殺しグラスを埋め、ブリッジャーに嘘をついて本隊へ戻るのだった。
やがて、覚醒したグラスはフィッツジェラルドを復讐すべく、その極寒の大地の上を身体を癒しながら追跡するのだった・・・
自然光のみで撮影した素晴らしく美しい極寒の風景の中、グラスの家族の想い出、原住民との闘い、冒頭の襲撃シーンはとても迫力があります、色々な出来事が交錯しながら、物語は進行していきます。
生魚を取って食べたり、極寒の中、川を泳いだり、原住民に襲撃を受け、崖から転落、寒さをしのぐ為に死んだ馬の腹を裂いてその中に入り、暖をとる等結構凄いシーンの連続です。役者にとって演技以上のものを要求しているようで大変だったと思います。
勿論、グラスとフィッツジェラルドとの最後の死闘も、痛いシーンの連続で見る側は見ていてとてもとても・・・
私がベトナムの劇場で鑑賞したのは、国際版だったのでしょう。グラスの想い出、夢のシーンはバッサリとカットされていました。これらのシーンはアメリカ大陸の開拓の歴史がまるで地獄図の様に思わせますが・・・
前述したように、エマニュエル・ベルツキ撮影の素晴しいショットがこの厳しい映画の癒しになっていることは確かです。
色々な意味で、イリャリトゥ監督の超重量級力作は大変な作品です。役者、衣装、撮影隊、そして美術班も物凄く大変だったことが判ります。その努力は画面からほとばしっているのが十分確認できるのです。こういう作品はめったに見ることが出来ません。
「荒野に生きる」もとても立派な作品でした。でも、この作品は監督の鬼気迫る執念を感じるもの凄い作品です。
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾