レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「さよならをもう一度」(1961)です。
イングリッド・バーグマン、イヴ・モンタン、アンソニー・パーキンス共演、フランソワーズ・サガン原作「ブラームスはお好き」、名匠アナトール・リトヴァク監督による恋愛映画です。今風に言えば、バツイチ女性のアラフォー婚活映画になりますが、リトヴァク監督なのでとても良く出来ています。
映画は1960年頃のパリ。インテリアデザイナー、ポーラ(イングリッド・バーグマン)とトラクター、トラックの販売会社のやり手の営業幹部ロジェ(イヴ・モンタン)との結婚前の恋愛模様にフィリップ(アンソニー・パーキンス)という若者がポーラを愛していると言い始めて割り込んで、ロジェの浮気の当てつけに同棲し始める・・・と言うお話ですが、今の女性なら、この結末に怒ってしまうのではと思う次第です。
大体、ポーラに忠告してあげないと、ファセル・ベガHK500、ロジェの車選びの趣味の良さは分かりますが、物凄い高級車です。
こういう車に乗っている人は、女性に対してお盛んです、分かりますよね。対して、ポーラは、地味に小型車シムカを乗り回しているので。多分、プジョーとかボックスホールを乗り回している中年男性には、ポーラは興味がないのでしょう。
そういう意味ではとても難しい組み合わせです。だから小説の題材にはとても良いのだと思います。
バーグマンはとても綺麗で、多分この辺りが"最後の輝き"だと思いますし、モンタンもとてもいい味出しています。
このリトヴァク監督は、あの大戦前から映画監督をしていた方で、大体ハワード・ホークス監督と同時期にに活躍されていました。
有名な作品は「蛇の穴」「追想」だと思います。私が劇場で、鑑賞した彼の作品は異色戦争大作「将軍たちの夜」と遺作になった「殺意の週末」です。
全体に、映画のスタイルと言うのか佇まいが古典的なので、現在の視点から見ると、古臭く見えるのは仕方ないことだと思います。映画のほとんどがセット撮影で驚きます。
昔はこうだったのですね。
当時は、ヌーヴェルヴァーグ期なので、それらの作品では、カメラはセットから飛び出て撮影していましたのですが。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾
追記
ファセル・ベガには、こんなエピソードもあります。「異邦人」で有名なカミュは、ガリマール書店幹部が運転するこの車で事故死しています。ちょっとサスペンションが弱いと聞いています。でも、スタイリングが魅力なので、私は好きです。
介護付き老人ホームで介護ベッドの上でくたばるより、ファセル・ベガでコーナリング中にオーバーステアで激突死する人生の方が好きなんだけど・・・