レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「まぼろし」マリーは何を見たのか…フランソワ・オゾン監督の人生ドラマ

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「まぼろし」(2000)です。

マリー(シャーロット・ランプリング)は、夫ジャン(ブリュノ・クレメール)とランド県リット・エ・ミシャ近郊へヴァカンスに出掛け、その浜辺で彼女が本を読んでる間に姿が見えなくなった。溺れたものと考えて捜索依頼たが、何も見つけることが出来ず彼女は一人パリに帰ってくる。彼が行方不明と聞いて友人ヴァンサンが彼女に近づいて、マリーも親しくなった。そんな時、警察からジャンのものらしい水死体の確認の電話を受けるのだが…

オゾン監督のサスペンス風ドラマと言った映画で、淡々とマリーの視点で夫ジャンが行方不明になった時点から自分に関わってくる人達を描いた作品です。ヒロインをシャーロット・ランプリングが自然体で演じており、これが良いんですね。うーん、美しいです。彼女が大学で英文学を教えていて、ヴァージニア・ウルフの小説「波」を紹介しているので、どうしてもあの「めぐりあう時間たち」を思い出します。

ジャンが行方不明になる前後の描写辺りは何か良いですね。美しい浜辺、どうしたらいいのか判らないマリーの表情、義母とのいけ好かない会話、警察で死体確認前後のマリーの表情、そしてラスト、まぼろしを見て駆け出すマリーの姿は何か痛々しくて…

フランス映画らしい作品で、一人の女性に訪れた悲劇を淡々と巧みに現した良い映画だと思います。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。             八点鐘

 

追記 ジャンを演じたブリュノ・クレメールは「危険を買う男」フリードキン版「恐怖の報酬」に出ていた性格俳優でこの作品でもなかなか好い。

 

 

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