レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「めぐりあう時間たち」時を超えて人生に区切りをつけたい男女が織りなすドラマですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「めぐりあう時間たち」(2002)です。

 

 

映画はとても凝った構成をしており、冒頭1941年ヴァージニア・ウルフが夫に感謝の言葉を書いた遺書を残して入水自殺するシーンから始まります。

1923年うつ病に苦しむヴァージニア(ニコール・キッドマン)の一日

1951年妊娠しているローラ(ジュリアン・ムーア)がホテルで自殺未遂する一日

2001年昔の恋人が自殺をして心を痛めるクラリッサ(メリル・ストリープ)の一日

これらの出来事が繰り返されて巧く一つの映画になった作品で、その軸にはヴァージニアが書いた「ダロウェイ夫人」が軸になっており、とても編集に凝った映画になっています。こういう技巧的な映画はとても好きです。

更に、ミニマル音楽の代表的作曲家フィリップ・グラスの素晴らしい旋律がとても涙腺を刺激する映画になっています。

彼は色々な映画音楽を作曲していますが、その中でもこの作品が一番優れていると思います。何と言っても、時間軸が違う3つの出来事を旋律を変えただけのスコアで上手く表現しているのには参りました。素晴らしいと思います。

普段はお馬鹿なアクション、ノワール映画を得意とするこのブログですが、何故かこういう技巧的な作品、例えばジョージ・ロイ・ヒル監督「スローターハウス5」がとても好きなので惹かれて見てしまいます。

とても良く出来た映画ですが、女性映画と言っていいこの作品、男の私には良く分からないところがあります。特にローラの心情は何となく判るのですが、どうしてこんなに悩むのか、やはり本当のところは判りません。男達はもっと単純でなので。

反対に、クラリッサの昔の恋人でエイズに侵されたリチャード(エド・ハリス)が、自殺を選んで人生に決別する辺りの心情は痛いほど良く分かりますが。

今回再見して、この作品LGBTの映画でもあることが判りました。クラリッサには娘がいて人工授精で授かったとか、又女性のパートナーがいるんですね。劇場で鑑賞した時は女友達だと思っていました。

見方を変えれば、この娘を巡るドラマも出来そうですね。人間って小難しい生き物ですね。だから、私はB級アクションへ巡り会うのですね。監督は「愛を読むひと」のスティーブン・ダルドリー。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。             八点鐘

 

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