「鏡の国の戦争」ル・カレ原作の余り馴染みのないエスピオナージスリラーですが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「鏡の国の戦争」(1969)です。

 

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この映画は、先日亡くなられたジョン・ル・カレが「寒い国から帰ったスパイ」の次に上梓した小説を映画化したものです。ですから「寒い国・・・」と同様な暗い、グルーミーな味わいですが、今回再見して地味だけど、真摯で丁寧に作られた作品だと認識を新たにしました。

 

映画は、ソ連との冷戦真っただ中の頃、フンランド航空のパイロットからフィルムを英国情報部エージェントが受け取るところから始まります。

が、このエージェント、空港を出た途端、バンに跳ねられ死亡してしまう。フィルムは道端に転がり、行方不明に。フィルムは、ソ連が東ドイツに配備を計画して新型ミサイルが映っていたのだが。

 

英国情報部はソ連情報部にやられたと思い、責任者ルクレルク(ラルフ・リチャードソン)とエイブリイ(アンソニー・ホプキンス)は、ポーランド人の密航者ライザー(クリストファー・ジョーンズ)をリクルートして、東ドイツに侵入させる計画を立てる。

このライザーには、英国女性のガールフレンド(スーザン・ジョージ)がいて、妊娠しているのだが、彼女はポーランド人の子供は欲しくないので堕ろすとか言われるが、彼は子供の為に、訓練を受け東ドイツに侵入する。

 

が、素人の悲しさで、すぐに警備兵に見つかり、その警備兵を殺してしまうので、アシが付いてしまう。やむを得ずトラックの運転者も殺し、道すがらで会ったアンナ(ピア・デゲルマルク)に出会い、目的の街カルクシュタットに向かうのだが・・・

 

監督・脚本をフランク・R・ピアソン(「暴力脱獄」「狼たちの午後」)が担当しており、しっかりした作品になっていますが、地味な作品で、映画的魅力に乏しいのが難点だと思います。但し、東ドイツの風景はとても美しい。

例えば、警備兵を殺害シーンでもリアルな描写に徹していますが、やはりヒチコック作品「引き裂かれたカーテン」で保安員グロメクをオーブンで殺害するシーンのような映画的魅力が欲しいと思います。

 

ライザーを演じるクリストファー・ジョーンズは、この後「ライアンの娘」に主演します。この作品では可もなく不可もなくという感じですが、その後、余り伸びずに2014年に亡くなってしまいました。享年72歳でした。

 

最後に、ライザーとアンナを遥か彼方の戦争のつもりで、簡単にを見殺しにするルクレルクに対して憤るエイブリイを演じるホプキンスがとても良いというか人間味あふれて素晴らしい。後年、レクター博士を演じてアカデミー男優賞を受賞するわけです。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。      八点鍾

 

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