レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「クライシス・オブ・アメリカ」ご存知「影なき狙撃者」のリブート作品ですが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「クライシス・オブ・アメリカ」(2004)です。

 

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この映画の原題はThe Manchurian Candidate です。そうです、少し前ご紹介したJ・フランケンハイマー監督「影なき狙撃者」のリブート作品なのです。

前作は、朝鮮戦争を舞台にしたエスピオナージ・スリラーでしたが、今回は、ソ連崩壊後の湾岸戦争を舞台にしたポリティカル・スリラーになっています。

 

監督がジョナサン・デミ(羊たちの沈黙)、主演がデンゼル・ワシントン、メリル・ストリープ、ジョン・ヴォイト、リーヴ・シュレイバー、ブルーノ・ガンツ、そしてヴェラ・ファーミガが小さな役で顔を出します。こういう重い作品をリブートするところがジョナサン・デミ監督の面目躍如といったところだと思います。

 

映画は、湾岸戦争でマルコ偵察小隊が、クウェートでイラク地上軍と接近遭遇戦となるところから始まります。マルコ少佐(デンゼル・ワシントン)はその時の記憶がなく、ショー軍曹(リーヴ・シュレイバー)が獅子奮迅の活躍をし小隊を救い、帰国後彼は名誉勲章を得、大物上院議員で母エレノア(M・ストリープ)の後ろ盾で政界に進出することになる。

 

マルコは帰国後、夜な夜な悪夢にうなされ、マルコ小隊の仲間を訪ね歩くうちに自分の身体の中に極小チップが埋め込まれているのを知る。馴染みの科学者デルブ(ブルーノ・ガンツ)に確認してもらうと意外な事実が・・・

 

大まかな粗筋は、「影なき狙撃者」と同じですが、今回は共産国による洗脳ではなく、マンチュリアン・グローバル社による洗脳で、軍事産業というかネオ・コンの意のままになる大統領という筋立てになります。それは、もうアメリカ一国のみが覇権国なのですから。

 

そういう意味でポリティカル・スリラーと見るのが妥当だと思います。以前鑑賞した時は、M・ストリープの演技位しか記憶にありませんでしたが、今回再見すると、映画全体異様なほど生々しく迫力があります。

前作はローレンス・ハーヴェイぐらいしか演技的には感心しませんでしたが、今回はM・ストリープを筆頭にデンゼル・ワシントン、リーヴ・シュレイバー、ジョン・ヴォイド等とても迫力があり、特にストリープの悪女演技が光っています。

そう、メリル・ストリープを見ていると貫禄たっぷりで、あのヒラリー・クリントンより有能な女性政治家に見えて来るので不思議に思います。本当に彼女は素晴らしい女優だと思います。コメディからアクション、こういう悪女、どんな役でもこなすことが出来るので。ちなみにマーロン・ブランドはコメディは全くダメでしたが。

 

前作では、後半のマルコ(フランク・シナトラ)の行動がもたもたしていて、映画のサスペンスを殺していましたが、今回はそこは改善されていますが、そのデスペレートなラストシーンが映画の出来を殺している印象を受けます。でも、そこを直そうとすると別の処にひずみが生じて、脚本家ダニエル・パインとディーン・ジョーガリスのホンは良く出来ていますが、もう一歩の処だと思います。

 

良く出来たリブート作品ですが、やはり前作のオリジナリティにはかなわないと思います。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。          八点鍾

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