レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ザ・シューター/極大射程」(2007)です。
あの「トレーニング デイ」のアントワーン・フークア監督がスティーブ・ハンター原作のボブ・リー・スワガー三部作、第一作「極大射程」を映画化した作品です。
この作品は、ハリウッドが得意とするアクションサスペンススリラーとして大変良く出来た作品です。
アフリカ、エリトリアの国連PKO部隊の護衛任務についていたスワガー一等軍曹(マーク・ウォールバーグ)とスポッター ドニーは長距離狙撃で部隊を救うが、敵の反撃は激しくドニーは戦死してしまう。スワガーは除隊後、ワイオミングの山奥に籠り隠遁生活をしていた。
ある時、ジョンソン大佐(ダニー・グローヴァー)が訪ねてくる。大統領が暗殺されるという情報を掴んだ。プロの長距離射撃手として、今後大統領が立ち寄る演説会場でどこが一番危険か、実際に確認して正確な意見が欲しいと。掴んだ情報によれば、1マイル(1.6Km)先からの狙撃だと。
スワガーは、会場周辺を調べて一番危ないのはフィラデルフィアと説明し、当日その場に立ち会うことにしたのだが、標的になったのは大統領ではなく、隣にいた大司教で、その時スワガーも後ろにいた警官に撃たれ、命からがら逃げる。そして、ジョンソン大佐に嵌められたことを知るのだが…
狙撃を扱った映画は色々とあります。古い処では「暗殺者の家」リメイク作品「知り過ぎていた男」「影なき狙撃者」「日曜日には鼠を殺せ」「狙撃」(邦画)「ジャッカルの日」「パララックス・ビュー」「山猫は眠らない」「スターリングラード」「アメリカンスナイパー」等、何れも良く出来ていますが、私は、この作品結構高く評価したいと思います。
それは、冒頭のPKO部隊援護では武装勢力が迫撃砲を利用して狙撃を阻止するシーン、さらにジョンソン大佐に1マイルからの狙撃だと言われ、実際に1マイル狙撃を実施するシーン、罠に嵌められ銃撃によって負傷してありあわせの物で自力で回復するシーン、一度使用された弾丸の銃痕を壊すことなく利用する方法、ラストの雪中狙撃シーン等興味深いエピソードが一杯なのですから。
特に、1マイル狙撃、シャイタックM200狙撃銃、弾道計算用ノートPC等こだわりのシーンは、弾丸発射後の衝撃等一見の価値があります。
こういうシーン、こういう映画は銃社会の米国の諸事情ならではもので、そうでは無い日本では、この作品のようになかなかリアルな作品が出来ないでしょう。加えて、本作のウォールバーグは男らしくカッコいいと思います。
少しだけ欠点を言わせてもらえば、悪役が少し弱すぎます。ネッド・ビュティーは悪くありませんが、もう少し不気味さが欲しいと思います。
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾
追記 この作品では大体ハーフマイル、800mぐらいでの狙撃戦、「アメリカン・スナイパー」と同じ。例えば「ジャッカルの日」だと200m。実際の戦闘では、沖縄戦シュガーローフの戦いだと400m、Wikiを読むと物凄い日本人狙撃者がいて、米軍将校がバタバタとやられたとか。
独軍東部戦線では、マティアス・ヘッツエナウア上等兵が赤軍兵士345名、ヨーセフ・アラーベルガー兵長が同じく257名をあの世に送った。この辺りが世界トップレベル。