レタントンローヤル館

主に映画のお話

「キングダム・オブ・ヘブン(ディレクターズカット版)」サラディン軍団とエルサレム攻防戦、騎士よ! 立ち上がれという映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「キングダム・オブ・ヘブン(ディレクターズカット版)」(2005)です。

映画は、12世紀後半のフランス。鍛冶屋バリアン(オーランド・ブルーム)は、自分は勇敢な騎士ゴッドフリー(リーアム・ニーソン)の隠し子だと知る。コッドフリーには天の王国をエルサレムに作るという夢があった。が、メッシーナ港で亡くなってしまう。バリアンは彼の意志を継いでボードアン4世、シビラ王女(エヴァ・グリーン)と共に天の王国を創ろうとするのだが…

巨匠リドリー・スコット監督作品、劇場公開では145分でしたが、後にDVD、BDで194分のディレクターズカット版が発売されました。約50分程追加されているので、印象が随分違います。当時この映画を劇場で見た時、主人公バリアンがフランスからエルサレムへ旅立つ辺りが釈然としなく、何かダイジェスト版のようだと感じていたら、やはりディレクターズカット版が存在しており、鑑賞出来て監督の意図が理解出来ました。

だから、こちらの版はバリアンがフランスを旅立つ辺り描写がたっぷりと入り、バリアンの妻も登場します。王の姉シビラが先の夫の子がおり、その子もレプラの為命を落とし、そしてギーと結婚する。細かく色々なショットが追加され、ギーがエルサレム開城後、再びバリアンの前に現れお前のせいで何もかもうまく行かなかったんだと言わんばかりに始まる決闘シーン、特に"鷹の構え"のバリアンが美しくて、かなり見応えのある映画に変貌しています。3時間オーバーの作品なので鑑賞するのに手こずりますが。

ここからは私個人の感想ですが、このディレクターズカット版を見るとスコット監督としては珍しく政治的なメッセージを包み隠した映画の様に思えます。元々スコット監督はメッセージ性の強い映画ではなく、優れた映像感覚で観客を楽しませてくれる監督と言っていいと思います。

ここでは"良き世を創るのが人の務め""イスラム教もキリスト教も一緒に共存できる王国"という主張と言うかメッセージが感じられ、そういう意味では彼のキャリアの中では異色の映画だと思います。2005年頃イラク戦争が終わり、その後のイラク内でのテロ事件、勿論英国内でもありました。そういう世相を反映したこの映画、スコット監督としては珍しくメッセージ性の高い作品として、勿論映画としてもとても良く出来た西洋剣劇映画として皆さんの心に残る作品だと思います。そういう意味でとても好きな映画です。但し、少しバランスが悪いと思います。特にシビラ王女の扱いが中途半端なので、ここをもう少し肉付けすればもっと生きてくると思います。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。        八点鍾

 

追記 こういう籠城戦映画は「カーツーム」「北京の55日」等があります。特に「北京の55日」は、帝国陸軍柴五郎中佐を伊丹十三が演じて活躍する映画です。

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